介護を通して症状、薬、脳、神経細胞、神経の仕組み、症状のメカニズムなどの慰問が生まれてきます。また、近年、パーキンソン病(PD)の研究発表も数多く少しずつ解明してきました。
パーキンソン病に関する様々な疑問、チャレンジ、思い、経験したことを紹介します。
ADL(日常生活動作)、QOL(快適な生活環境)の向上、治癒を目指して。
パーキンソン病(PD)の
知見を広げることにより不安・心配事が解消。
さまざまな気づき、ひらめき、チャレンジ・知見。(詳細は、下線部分をクリック) ⓾様々な要因による”幻視” ⑨ 痛みを和らげるオキシドシン ⓼ 睡眠と覚醒 ⑦ 心不全症・肺炎・胸水の顛末 ⑥ PD・オートファジーの関係 ⑤ PDD・DLBの大脳皮質萎縮 ④ PD・ADの脳部位の萎縮 ③ PD・新手法遺伝子治療 ② ドーパミン量をコントロール ① 所見が大切さ!! |
様々な幻視様々な幻視!!原因疾患により幻視が異なるようです!!薬剤性(ド-パミン供給が多い時の幻視)と脳部の疾患での幻視は異なるようです。 すべて神経伝達物質の量によるものと考えます。 PD患者では、小さい虫が、小さいごみが、小人さんが見えるようです(原因は薬剤性)。 レビー小体認知症では、人が見える、錯覚がが多いようです。
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オキシドシン痛みを和らげるオキシドシン慢性的な痛み(リュウマチ、パーキンソン病等)を緩和する神経伝達物質のオキシドシンが慢性的な痛みを緩和することが判ってきました。また、認知症の悪化を防ぐ効果もある。痛みやストレス状態になると偏桃体(脳部位)が興奮。興奮した偏桃体を前頭前野が鎮めますが、痛みとストレスが継続的に起こる場合偏桃体が興奮しっぱなしになると痛みが増幅され血圧上昇、不眠、一時記憶が保持できなくなります。このような場合、オキシドシンの分泌を促進させることにより偏桃体の興奮を鎮静化できます。 では、どの様にオキシドシンを分泌させればよいのでしょうか? オキシドシンは、視床下部から分泌されるホルモンです。体を触れることにより触れた感覚が脳に伝わりオキシドシンを分泌されます。また、触れた側にもオキシドシンが分泌されます。 子供のころ痛いところに母親から手でなでられたら痛みが無くなったと言う経験はないでしょうか? 下記に触覚で痛みが改善されたタッチケアーの例を記します。 ・血圧低下症:背中のマッサージ(両手のひらで背中をさする)を10分間 x 週3回。 ・認知症: 腕のマッサージ(さする)毎日10分間 x 1週間。 ・リュウマチの痛み:背中のマッサージ(両手のひらで背中をさする)を10分間 x 週3回。 触れる、触れられるという行動が、睡眠薬、降圧薬、鎮痛剤、抗不安薬、認知症の改善に期待されます。 (触れられる相手が信頼できる相手であることが前提です) また、信頼できる人の声を聞くだけでもオキシドシンが分泌され安心感が生まれます。 ![]() |
オレキシン睡眠と覚醒睡眠・覚醒に対しては不明点が多く現在科学でも解き明かされていませんが、神経伝達物質のオレキシンが関係していることが判ってきました。睡眠には、視床下部で分泌されるオレキシンが覚醒を促すことに関わっている。 a) オレキシンの分泌が多いと覚醒中枢(覚醒系の神経細胞群)が活性化して覚醒。 b) オレキシンの分泌が少ないと睡眠中枢が活性化して睡眠。 オレキシン分泌メカニズムは不明ですが、遺伝子が関わっているのではないかと推測されています。 (遺伝子の特定まではされていません) ![]() 睡眠薬(従来型)は、脳全体の興奮を抑え睡眠に導きますが、スポレキサント(選択的デュアルオレキシン受容体拮抗薬)は、睡眠覚醒のメカニズムに作用すると考えられています。(2014年9月26日、日本で承認され不眠症の睡眠薬) 睡眠と脳磁図
基礎律動をつくる波形
α波:
β波:
θ波:
基礎律動:
睡眠時脳波 睡眠段階 : 特徴的波形 stage W : α波 stage 1 : α波の減少、V波(hump) stage 2 : 睡眠紡錘波(spindle)、K複合波 stage 3 : δ波(20% - 50%) stage 4 : δ波(50%以上) stage REM: 低振幅脳波に急速眼球運動(REMs)が出現する
中脳網様体―視床―皮質の連絡によって波形の成り立ちは説明される。睡眠が深くなると中脳網様体、視床、皮質の順に求心性支配が順次減少すると考えられている。
覚醒段階(stage W) 閉眼覚醒ではα波のほか、高振幅の持続性筋電図、急速眼球運動(REMs)や瞬目もしばしば出現する。このα波は皮質―皮質間の神経路で発生すると考えられている。
睡眠第1段階 まどろみ期、入眠期といわれる。うとうとした状態である。覚醒時に認められたα波の連なりはリズムを失い徐々に平坦化してくる。低電位の徐波、即ちθ波が不規則に出現しβ波も混ざる。α波が覚醒期の50%以下になると睡眠第1期とする。第一段階の後半になると頭蓋頂鋭波(humpまたはV波)が出現する。頭蓋頂鋭波は左右頭頂葉優位の鈍く尖った高電位の徐波である。中脳網様体からの視床や皮質への求心性入力が減少することでα波の形成は減少すると考えられている。
睡眠第2段階 軽い寝息を立てるくらいの状態である。睡眠紡錘波(spindle)とK複合波(K complex)が出現する。睡眠紡錘波は頭頂部に出現する12Hz - 14Hz程度の波形である。K複合波は頭蓋頂鋭波に似た二相性ので高振幅の徐波とそれに続く速波で構成される複合波である。睡眠紡錘波は網様視床核がペースメーカーとなり、それが皮質に投射される、視床―皮質回路で形成されている。中脳網様体の求心性入力が減少することで視床―皮質の神経路が独立性をもち睡眠紡錘波を形成するようになる。
睡眠第3段階 2Hz以下で頂点間振幅が75μV以上の徐波(δ波)が、20%以上50%未満を占める段階である。かなり深い睡眠でありよほど強い刺激でないと知覚されない。通常の脳波検査ではこの段階までいくのは稀である。第3段階と第4段階を合わせて徐波睡眠という。視床からの求心性入力が減少することで皮質が独立性をもち多形性のδ波を形成する。
睡眠第4段階 2Hz以下、75μV以上の徐波(δ波)が50%以上を占める状態である。
REM睡眠 上記の睡眠段階は主にノンレム睡眠である。レム睡眠は脳波に睡眠第一段階に類似した低振幅パターンが出現すること、急速眼球運動(REMs)が出現すること、身体の姿勢を保つ抗重力筋 筋緊張低下を三徴とする。脳波のみでは睡眠第1段階とレム睡眠の区別は困難である。ナルコレプシーの患者では覚醒時から急速にレム睡眠に移行する。また、レム睡眠中に刺激を与え、起こすと夢を見ていたと述べることが多い。
意識障害の脳波
軽度の意識障害 意識が清明な場合は開眼によってα波が抑制されるが、眠気があり軽い意識混濁が認められると開眼してもα波は持続して現れる。
中等度の意識障害 低振幅脳波や広汎性徐波を示す。音刺激などで脳波が反応することがあり、この場合は回復の可能性がある。
高度の意識障害 θ波などの他に、三相波、PLEDs、suppression-burst,α-comaなどが認められる。 |
心不全の顛末心不全・肺炎・胸水 発病の顛末(2015年11月29日)2015年11月13日より心不全症・肺炎・尿路感染症のため11月28日まで緊急入院。 心不全症・肺炎・尿路感染症の症状が出現した顛末に付いて考えてみた。 2~3ヶ月前より両足首のむくみ(下肢浮腫)がみられパーキンソン病により運動不足と考えた。 以前、今回よりひどい下肢浮腫になり循環器内科で薬物治療を行った経緯があり少しのむくみだったので様子を見ていた。また、床に入ると咳き込みが11月1日頃よりおこり、アレルギー性??風邪によるものと考えていた。体温は平熱。(10月21日血液検査異常なし、11月4日エコー検査異常なしであった) 血液検査数値
*BNP値: 心臓に負荷が加わったときに心臓から分泌されるホルモンで、心臓への充満圧(心房圧)、心室拡張期圧が高くなると上昇。 *CRP値:炎症や感染の指標。 血液検査の結果から10月21日の段階では炎症や感染の指標は正常。 10月21日以降に細菌・ウイルスに感染して肺炎を発症。肺炎発症したことにより血液中に細菌が侵入して心臓内部に付着により細菌性心内膜炎(弁膜症)を発症、しかし、数ヶ月前より両足首ににむくみがあったため心臓 の三尖弁(大静脈からの血液を右心房⇒右心室の弁)機能が弱く下肢浮腫に成ったと考えられ、体重も増えたとの事から数ヶ月前より胸水が溜まっていたと考えられる。その頃より心不全があったのでは?と推測。 心不全症の出現症状 ・尿量が減る、体重が増える。 ・むくみ。 ・息切れ。 ・夜間まっすぐ寝ると息苦しい、消化器症状。 ・食欲低下、吐き気、消化不良、身体がだるい、肝臓の辺りが重い。 ・せきが出やすい。 ・たんが出やすい。 ・腹痛、腰痛。(赤字が思い当たる症状) 不整脈は、胸膜腔内に異常に多量の液体が貯留(漏出性胸水)が発生し、心臓に負担がかかり肥大して僧帽弁(肺静脈からの血液を左心房⇒左心室の弁)が若干の機能低下により不整脈と成ったと推測。 肺炎(肺胞性)発症は、10月21日以降に細菌・ウイルスに感染したと考えられる。 感染源は、誤嚥性によるものかもしれない。 今回の心臓弁膜症(三尖弁の閉鎖不全症)を起こした要因の一つは、肺炎により血液中に細菌が侵入して心臓内部に付着し細菌性心内膜炎によりとも考えられるため今後も心不全、不整脈の原因を調べなければならないと考える。
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PDとオートファジーパーキンソン病とオートファジーの関係(2015年09月27日)パーキンソン病の原因の一つとして、脳内の黒質緻密部から線条体被穀への神経伝達物質のドーパミンが減少 する事で起こるとされています。ドーパミンの減少は神経細胞内の不良ミトコンドリアにより変性、脱落すると 解ってきました。また、α-シヌクレインの凝集(レヴィ小体)が神経細胞内に蓄積する事によりその脳部位が 機能不全を起こすとの説もあります。両説とも神経細胞内の機能不全によるもので、小器官、蛋白質の蓄積がら なる原因と考えられます。 東京都医学総合研究所 松田憲之氏によると、不良ミトコンドリアでパーキン蛋白質がどの様に働いているかを 研究したところ、PINK1蛋白質が不良ミトコンドリアの集まり、その後パーキン蛋白質が集まり、PINK1と パーキンが協力してユビチキン(リン酸化)、オートファジー作用を起こす事が解明されました。 オートファジーを活性化できる薬が開発出来れば治療薬として期待が出来ます。
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PDD・DLBの大脳皮質の萎縮PDD・DLBの大脳皮質の萎縮(2015年09月27日)脳の委縮に対して「パーキンソン病およびレヴィ小体型認知症における灰白質萎縮」の研究発表が有ったので要約し紹介したい。 レヴィ小体型認知症(DLB)およびパーキンソン病に認知症を伴う(PDD)における皮質萎縮のパターンを明らかにするため、voxel-based morphometry(VBM)を用いた研究を行った。 患者54例(PDD 15例、DLB 18例、アルツハイマー型認知症(AD)21例)および対照健常高齢者20例の計 74例を対象として三次元T1強調MRIを撮り、画像をVBMを用いて解析した。 側頭葉、頭頂葉、および後頭葉における皮質の萎縮は、 PDDに比べDLBのほうが顕著であった。 PDDに比べてAD群では、扁桃体を含む両側側頭葉における灰白質濃度の低下がみられた。 DLBに比べてAD群の患者では、側頭葉および前頭葉が萎縮していた。 認知症の重症度は同程度であるにもかかわらず、DLB患者における皮質の萎縮はPDD患者に比べて顕著であり、2つの症候群の認知症の根底にある脳基質が異なっていることを示している。DLBとPDD間の微妙な臨床的 および神経生物学的差異を報告したこれまでの研究とともに、われわれの知見は、PDDとDLBは同一疾患では なく、レヴィ小体病スペクトルの2つのサブタイプであるとの仮説を支持している。 レヴィ小体型認知症は、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症とともに三大認知症の認知症であり、コリン賦活薬が有効である可能性が高いことが判明したことでドネペジルが治療薬として用いられている。本論文での結論は、VBMによりPDDとDLBにおける脳皮質の相違点を指摘し、どちらもレヴィ小体病に属するが、別個の疾患である可能性を示しています。 私見ではあるが、PD、BLDの共通項はα-シヌクレインの凝集であり脳部位、神経核の神経細胞内に蓄積した 量により各々の症状が顕われるのではないかと考える。 Braak仮説が有力な説ではないかと思う。 また、PDとオートファジーの機能低下が関係が強いと言われて不良ミトコンドリアの処理を含むレヴィ小体が 関係していると考えられている。オートファジーを活性化する薬が開発されればPD、レヴィ小体認知症の完治 も夢では無いかもわかりません。
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PD・ADの脳部位萎縮PD・アルツハイマー認知症の脳部位萎縮(2015年09月12日)大阪大学大学院医学系研究科情報統合医学講座(神経内科学)の望月秀樹教授によると、アルツハイマー病(AD)は、その神経細胞の減少によって海馬から始まり前頭葉が萎縮する。パーキンソン病(PD)は、ドーパミン神経細胞が減少しても、黒質のある中脳は萎縮しない。特異的にドーパミン神経細胞が減少で、黒質のある中脳の萎縮にまで至らない。 また、大脳皮質から線条体に投射するグルタミン酸作動性の神経終末部において、α-シヌクレインの集積が起こることを発見。しかしながら、PDで障害を受ける黒質から線条体に投射するドーパミン作動性の神経終末部には認められ無かった。 これらのことから、SNARE複合体の機能障害が α-シヌクレインの集積・凝集に関与すること、ならびに発現は神経細胞の種類によって異なることがわかったことを米国神経科学学会誌(Journal of Neuroscience)に平成24年11月28日に研究発表した。 PDでは、運動症状以外に便秘、心臓の交感神経の異常(MIBGの集積)、夜中に大声を出したり、明瞭な寝言、REM睡眠行動異常症、嗅覚低下、うつ状態、不眠などが見られる。 治療は、不足するドーパミン補充や分泌促進、ドーパミン受容体の刺激、アデノシンA2A、ムスカリン受容体の遮断薬の処方が行われる。しかし、運動症状以外の症状には効果が見られず、便秘などはかえって悪化する。 脳の黒質のドーパミンの分泌が減ることで、PDの症状が説明できない。 ドーパミンの減少は、α―シヌクレインの異常な蓄積が原因である可能性が考えられています。 Braak仮説では、腸管の神経に蓄積して便秘を、嗅覚の神経に蓄積して嗅覚低下を、それぞれ起こすと指摘されている。現在では、αーシヌクレインが体のいろいろな神経に蓄積されることが、パーキンソン病の原因の可能性が高いと考えられています。 新しい治療方法として薬があまり効かない本態性振戦やPDの振戦(ふるえ)に対して、近々集束超音波療法。(MRIを見ながら超音波を集め、脳治療を行う)の治験がスタートしようとしていると述べています。 と言う事は、 黒質緻密部の細胞が変性、死滅・脱落では無いため萎縮はしないことから、線条体被穀へドーパミンを投射する神経細胞は、正常でグルタミン酸作動性の神経終末部において、α-シヌクレインの集積が起こることを発見されたので、グルタチオン点滴療法は有効と考えられるのではないか??。 α-シヌクレインの凝集を分解する機能のオートファジー、ユビチキン・プロテアソームの正常化がkeyと成るのではないか??。 精神症状、自律神経症状、交感神経症状の出現のメカニズムの究明が待たれるが、運動症状に関しての完治が見えてきたように感じる。
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PDと新手法遺伝子治療PDと新手法遺伝子治療 (2015年08月13日 日経新聞記事)抜粋・編集
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ドーパミン量をコントロール
ドーパミン量をコントロール (2015年08月23日)
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所見が大切
所見が大切!! (2015年04月06日)
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