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難病 パーキンソン病患者とともに生きる。

ひらめき(PDメカニズム)レポートpolicy&FAQ

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パーキンソン病のメカニズム関連

パーキンソン病(PD)を患い脳、神経細胞、ドーパミン神経伝達物質等疑問が次から次へと生まれてきます。ここでは、
PDと症状(ジストニア)、ドーパミン量が上昇、下降した場合の症状、遺伝子、レヴィ小体、等のメカニズムを紹介したいと思います。参考になれば良いのですが・・。

Page Contents

 ー ⑮シヌクレイノパチー 
⑭神経変性疾患を防ぐ  ⑬GBA遺伝子とPDの関係性
⑫PD進行に伴う脳部位
の特定
 
⑪PDにセルトラリンが
有効!
 ⑩PD 新たな知見
「免疫細胞」
⑨PD 進行に伴う出現症状の
予測
 ⑧新たな知見
「ジストニア」
⑦PD 発症 Braak 仮説
 ⑥ドーパミン
トランスポーター
⑤アミノ酸からの産生経路
④私見PDの出現症状 ド-パミン量
上昇・低下時の症状
 ②PD とジストニアの
メカニズム
 ①前頭葉とドーパミン量



⑮ シヌクレイノパチー
α-シヌクレイン蛋白質の凝集で起こる疾患

神経細胞のシナプス前終末に豊富に存在する
α
-シヌクレイン(synuclein)蛋白質(詳細機能は不明)が
過剰発現し異常構造物を形成する疾患を
シヌクレイノパチーと提唱されている。
この神経疾患には、

・パーキンソン病 (parkinson's disease:PD)

・レヴィ小体認知症 (Lewy body disease :DLB)

・多系統萎縮症 (multiple system atropny:MSA)

  ①オリーブ橋小脳萎縮症   
   (olivopontocerebellar atrophy)

  ②線条体黒質変性症
   (striatonigral degeneration)

  ③シャイ・ドラーガー症候群
   (shy-drager syndrome)
を包括



 パーキンソン病


α-シヌクレイン(synuclein)蛋白質の凝集の
レヴィ小体が形成される。

形成される脳部位は、

・中脳では、黒質、青斑核、動眼神経核、
 迷走神経、背側核、脳幹諸核に広汎に形成。

・大脳では、マイネルト基底核、視床下部、
 偏桃体に形成される。

・末梢神経系では、交感神経節、副交感神経節。

・腸管の神経叢、副腎。

 

黒質ではドーパミン作動性神経細胞が変性、
脱落することによりアストロサイト(グリ
オーシスにより中枢神経系に存在するグリア
細胞の
1つ)が形成され、神経メラニンを崩壊
されることにより褐色から白っぽくなる。
脱色は黒質と青斑核にも生じる。

 


 

 

レヴィ小体認知症


大脳皮質に広汎にリン酸化したα-シヌクレインが蓄積する。 


 


多系統萎縮症


・オリーブ橋小脳萎縮症

 橋では、橋核、横走線維が変性。
 入力系の中小脳脚、小脳白質、下小脳脚、
 下オリーブ核が変性。
 出力系の歯状核は保たれている。

 

・線条体黒質変性症

 線条体-被殻、尾状核が変性、脱落と線維性 
 アストロサイトの増生。黒質-緻密部が脱落。

 

・シャイ・ドラーガー症候群

 脳幹、脊髄(自律神経系)の諸核が変性。

 胸髄の中間質外側核、迷走神経背側核、
 青斑核など自律神経系の核が変性。

 





⑭神経変性疾患を防ぐ

国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第四部の永井義隆室長、武内敏秀研究員(京都大学)らの研究グループは、細胞同士が防御因子「分子シャペロン」をやり取りすることで、アルツハイマー病、パーキンソン病、ポリグルタミン病などの神経変性疾患で起きる異常タンパク質の凝集を防ぐという、生体内の新しい防御機構が明らかになったと発表した。本研究は科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業の一端として行なわれている。

分子シャペロンがエクソソームと呼ばれる小胞に包まれた状態で細胞から分泌された後、周辺細胞に取り込まれることでタンパク質の凝集を抑える働きを発見。この仕組みは、ポリグルタミン病のショウジョウバエモデルを用いて実験され、筋肉や脂肪などの末梢細胞からの分子シャペロンが、神経細胞の変性を防ぐという結果により確認された。

ひらめき パーキンソン病のメカニズム

⑬GBA遺伝子とPDの関係性

グルコセレブロシダ-ゼ(GBA)とは??
グルコセレブロシダーゼ (Glucocerebrosidase:GBA)とは、
細胞内リリソームに局在する加水分解酵素。
生体糖脂質であるグルコセレブロシドの糖と脂質の脱水縮合部位を分解する酵素。
(グルコセレブロシダーゼはグルコセレブロシドからグル
 コースを切り離す酵素)
グルコセレブロシダーゼの欠落は、神経や肝臓、脾臓や骨などの組織内で蓄積が認められゴーシェ病の要因。

GBA・パーキンソニズム
変異したGBAがシヌクレインパーチ(孤発性パーキンソン病、レヴィ小体認知症等)の危険因子として作用する事が、研究者により示唆されています。
パーキンソニズムとジストニアを中心とした神経障害の原因遺伝子は、ATP13A2・PLA2G6と示唆されています。

ATP13A2蛋白質は、リソソーム内のpHの維持を行い、脂質代謝において脂質のリサイクルに関与している。
リソソームは細胞内の小器官、なかでもミトコンドリアに鉄を供給する役割をもっており、リソソームに障害があるとミトコンドリアの鉄代謝に影響を及ぼすと考えられる。
細胞内の糖脂質を分解するライソゾーム酵素、GBAの欠乏(活性低下)によりパーキンソニズムを合併しやすく鉄の
沈着もみられている。

PLA2G6蛋白質は、ミトコンドリア内膜のリン脂質(phospholipid)代謝に関与し、脂質二重膜の維持を行って
いると考えられている。

PD発症とGBAの関係性
弧発性のパーキンソン病(PD)やレヴィ小体型認知症(DLB)においてゴーシェ病の原因遺伝子GBAの変異が有意に高いこと、変異型GBAが弧発性シヌクレイノパチーの危険因子として
作用する。(PDやDLBは、αシヌクレイン蛋白質の異常構造化が糖脂質の蓄積で引き起こされると報告があり、糖脂質分解酵素の一つであるグルコセレブロシダーゼ(GBA)遺伝子が変異している場合、認知症の発症確率は通常の約8倍、
パーキンソン病では約5倍と報告されている)ゴーシェ病はGBA遺伝子の変異が原因で、GBA活性が低下し、細胞内に糖脂質が大量に蓄積する常染色体劣性遺伝の代謝異常症である。臨床的に肝脾腫、貧血、易骨折性などを主な特徴とし、さらに、けいれん、斜視、開口困難などの神経障害を呈する。現時点において、ゴーシェ病の原因となるGBAの変異がどのようにしてシヌクレイノパチーを促進するかは不明である。しかしながら、GBA変異の対立遺伝子からなる事
(ヘテロ接合性)により、孤発性PDに罹患しやすくなる。
GBAの変異をともなうPD剖検脳のレヴィ小体においてGBAの免疫原性が報告され、変異型GBAは凝集能が高く、このことが原因でα-シヌクレインの凝集を促進し、神経変性を促進するという可能性が考えられている。
近年ゲノム解析により、GBAの遺伝子変異が弧発性シヌクレイノパチーの危険因子として作用することが確定された。GBAがアミノ酸変異により構造変化を起こして凝集しやすくなる結果、α-シヌクレインの凝集を誘発しレヴィ小体に至り神経変性に成ると考えられる。
今後グルコセレブロシダーゼ(GBA)遺伝子の酵素活性を高めたり、糖脂質グルコシルセラミドの蓄積を抑制することが出来れば治癒が可能と考えられる。

GBA遺伝子異変を保有のPD患者では
認知機能障害が認められ、嗅索、脳梁、両側内包前脚の拡散異方性比率が低下、さらに右前外包、左帯状束、傍海馬神経路、上縦束の頭頂部、後頭葉白質にも低下が見られ、大部分の白質経路で拡散異方性比率が低下している。また、言語流暢性スコアと白質異常との間に相関性が認められた。
大脳半球間神経路、前頭皮質間神経路、傍海馬神経路が関与する白質異常の分散型パターンが認められる。
これらの白質病変は、認知機能障害、PDの臨床症状に影響を及ぼす可能性が有ると指摘されている。


用語解説
ゴーシェ病:ライソゾーム病、先天性代謝異常症、常染色
  体劣性遺伝に分類される。

ライソゾーム病(リソソーム病、リソゾーム病、リソソーム蓄積症)
  細胞内にある小器官の一つであるライソゾームに関連
  した酵素が欠損しているために、分解されるべき物質が
  老廃物として体内に蓄積。

参考:・Sidransky E, N Engl J Med. 2009, Mitsui J, Arch Neurol.
    2009
   ・Sidransky E, N Engl J Med. 2009
   ・Goker-Allan et al. Acta Neuropathol. 2010
   ・Sidransky E, N Engl J Med. 2009, Mitsui J, Arch Neurol.
    2009
   ・Movement Disorders.Vo l28,No.6 2013,pp.772-778

ひらめき パーキンソン病のメカニズム

   グルコセレブロシダーゼ イメージ
          出典画像:Wikipedia

⑫PD進行に伴う脳部位の特定

東北大学は2014年10月31日、パーキンソン病の悪化に関連する因子(予後予測因子)の発見に成功したと発表。
東北大学大学院医学系研究科高次機能障害学の森 悦朗 教授、同大学病院高次機能障害科の西尾 慶之 講師、同 馬場 徹 助教、県南中核病院研修医の庄司 裕美子 医師らの研究による。

PDは、長期の経過中に約8割の患者が認知症になることが知られている。しかし、現時点では病初期の段階で後の認知症の発症を予測することはできていなかった。
東北大学の研究チームは、53名の認知症のないPD患者を対象に、3年の間隔を開けて2回の検査を施行し、初回の検査成績とその後3年間の検査成績の変化との関係について調査を実施。患者を以下の5つのグループに分け、運動機能、認知機能(記憶、視知覚、遂行機能)、局所ブドウ糖脳代謝の結果を比較。
 ①初年度に認知障害がなく、3 年後にも認知障害のない
  グループ。
 ②初年度に認知障害がなく、3 年後に記憶障害だけをきた
  したグループ。
 ③初年度に認知障害がなく、3 年後に記憶およびその他の
  認知障害をきたしたグループ。
 ④初年度に記憶障害のみを認めたグループ。
 ⑤初年度に記憶障害およびその他の認知障害を認めた
  グループ。
結果、初年度に認知障害を認めなかったグループ(①~③)のうち、①、②のグループの臨床症状、脳代謝パターンが類似していた一方で、グループ③は①、②のグループに比べて初回検査時の側頭・頭頂葉の代謝が強く低下していた。また、グループ③は初回評価時に視知覚障害が認められ、その後3年間の認知機能および運動機能の悪化が重度だった。初年度に認知障害を認めた④、⑤のグループの比較においても同様の差が認められた。

以上の結果から、記憶および視知覚に障害を認めるPD患者は、認知機能はもちろん運動障害も急速に進行する可能性が示唆された。
記憶および視知覚に障害を認めるPD患者においては、これまで考えられていたよりも早い段階で大脳新皮質(側頭・頭頂・後頭葉)に神経変性が起こり、これが病状を急速に悪化させる要因になっていると考えられる。

PDの悪化要因が明らかになった事で、予後予測や認知機能障害に対する早期介入に繋がることが期待される。

ひらめき パーキンソン病のメカニズム

   認知障害の発症と脳のブドウ糖代謝低下
   (PDの悪化に関連する予後予測因子の発見)

⑪PDにセルトラリンが有効!

抗うつ剤に使用されている選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI) がパーキンソン病の進行を抑制する可能性が有ると東北大大学院 医学系研究科 神経内科学分野の長谷川隆文助教、同・今野昌俊医師、同・武田篤准教授らの研究グループにより発表された。研究の詳細内容は、米国科学雑誌「Molecular Neurodegeneration」電子版に掲載された。

パーキンソン病や多系統萎縮症では、脳内の神経・「グリア細胞」内に毒性を持つ α-シヌクイレンと呼ばれる異常なタンパク質凝集物が蓄積し、「レヴィ小体」あるいは「グリア細胞内封入体」といった細胞内凝集体が形成され、年月と共に神経変性が進行して行く。このα-シヌクイレンは細胞外に放出された後、隣接する細胞へ再び取り込まれ周囲に病変を伝播させることが判ってきた。
研究グループは細胞内へ物質を取り込む際に重要な役割を持つタンパク質「ダイナミン」に着目。遺伝子操作によりダイナミン機能を抑えることで神経細胞へのα-シヌクイレン取り込みが抑えられることを確認した。
強力なダイナミン阻害作用を有するセルトラリンが、神経・グリア細胞へのα-シヌクイレン取り込みを低減させ、細胞間におけるα-シヌクイレン伝播を抑制することを培養細胞モデルにて証明したのである。
パーキンソン病や多系統萎縮症の脳細胞の喪失は数年以上にわたりゆっくりと進んで行く。よって、早期に病気を発見しセルトラリンの服用を開始することにより、周辺への病変拡大が抑えられ症状進行を遅らせることが期待される。

      ひらめき パーキンソン病のメカニズム

⑩PD 新たな知見「免疫細胞」

2014年4月19日 コロンビア大学のDavid Sulzer博士らによって、パーキンソン病が自己免疫疾患の1種である可能性が示された。動物の細胞はウイルスなどに感染すると細胞膜上にMAC抗原を生成し、免疫細胞の1つT細胞の攻撃ターゲットとなるが、神経細胞にはこのような機能はないと考えられていた。Sulzer博士らは、パーキンソン病に侵されるなど特定の条件下では、神経細胞がMHC抗原を生成することを発見。
この実験は、胚性幹細胞(ES細胞)から作成された神経細胞を利用して行われたため、実際のヒトの体内で同様の現象が起こっているのかは確認されていないが、パーキンソン病は自己免疫疾患の1種である可能性があると示唆しました。

元記事:Is Parkinson's an autoimmune disease. Nature
    Communications,2014


免疫細胞とは
病原体と戦い体を守ってくれる細胞で、免疫細胞の働きには年齢によって大きな違いがあります。免疫細胞の数は大人で約2兆個で体全体の細胞60兆個の細胞を守っています。免疫細胞は脊髄の中にある骨髄の中のニッチと言う場所で1日1,000億個以上作られます。その一つがT細胞(リンパ球の
一種、前駆細胞が胸腺での 選択を経て分化成熟した細胞)で侵入した異物が敵かどうか判断し指示をだす細胞です。
免疫細胞は血液に乗って全身に行きわたります。センサー役の樹状細胞が異物を発見するとT細胞へ運び攻撃対象かを判断して攻撃対象であればサイトカインと言う物質を放出してマクロファージ( 白血球の一種で、死んだ細胞やその破片、体内に生じた変性物質、癌細胞や侵入した細菌などの異物を捕食して消化する食細胞 )が働き健康が維持されます。
また、T細胞が何らかの原因で誤作動が起った場合、正常な自分の細胞も攻撃して老化の要因、脳出血、心筋梗塞、動脈硬化、慢性肝炎、骨粗しょう症、慢性腎臓病、高血圧症、糖尿病も免疫細胞が深く関わっているとの指摘 もあります。

免疫細胞と白血球の種類
 球・細胞名  機能
単球 
5%
 マクロ
ファージ
抗原などの外来性の異物、
生体内の老廃物を貪食、
消化します。 
 樹状細胞 抗原提示、貪食能が弱い。
 ランゲル
ハンス
細胞
皮膚の浅い場所,表皮に
のみ存在、貪食能が弱い。
リンパ球
20~
 40%
B 細胞 
(Bリンパ球)
抗体を産生、病原体を失活
させたり、病原体を直接
攻撃する目印になったり
する。
T 細胞
(Tリンパ球)
「ヘルパーT細胞」
B細胞の分化成熟、抗体産生
を誘導する。
「サプレッサーT細胞」
免疫反応を抑制 し、終了
に導く。 
「キラーT細胞」
ウイルスに感染した細胞や
癌細胞を認識しその細胞
を殺す。
 NK 細胞 「ナチュラルキラー細胞」
自然免疫の主要因子として
働く細胞傷害性リンパ球、
腫瘍細胞やウイルス感染
細胞の拒絶に重要。 
好中球
50~
 70%
顆粒球 抗体と結合し抗原を行い
細菌を貪食。 
好酸球
5%
寄生虫感染やアレルギー
疾患で増加。
好塩
 基球
1%
血液中を巡回し,炎症が
おきた場所に引き寄せ
られ,マスト細胞の役割
を補佐。
*交感神経が緊張すると顆粒球が増加、活性酸素
 の放出量の増加(ドーパミンは交感神経を刺激 )  
*パーキンソン病患者では顆粒球が増加しリンパ
 球が減少との報告がある。

免疫細胞の活性化
衰えた免疫細胞の活性化するには、1日5分の運動で筋肉から分泌された物質が免疫細胞を活性化させると言うイギリスのバーミンガム大学の研究発表があります。

用語解説
MHC抗原:主要組織適合遺伝子複合体(しゅようそしきてきごういでんしふくごうたい、major histocompatibility complexと呼ばれる糖蛋白質。
細胞に感染した細菌、ウイルス、癌細胞、抗原提示細胞に貪食処理されたペプチドなどがMHC抗原に結合して細胞表面に提示され、リンパ球のT細胞に攻撃対象と認識され、細菌、ウイルスや癌、異物などを攻撃排除する。

       ひらめき パーキンソン病のメカニズム

            T細胞
         出典画像:Wikipedia Commons

⑨PD 進行に伴う出現症状の予測

はじめに
レヴィ小体蓄積の脳部位をベースに 嗅神経系・腸管系より
レヴィ小体の進行が同時に進行した場合の出現症状を予測をまとめると、うつ症状が出現 → 軽度な認知症 → いびき、
寝言がハッキリ聞き取れる → 顔の表情が硬くなる → 幻視・ふらつきがある → 幻聴、音に敏感になる → 手足の震え、
筋肉の硬直、寡動、無動、前屈みの姿勢(パーキンソン病の診断)→ 認知、記憶障害・幻聴 → 論理的思考・創造性・
意思決定が困難になる。

レヴィ小体の蓄積を抑える
パーキンソン病の診断がなされる数年前からレヴィー小体の発現があり徐々に進行していく病と考えられる。
レヴィ小体の発現を阻害、発現率を把握できれば発病を抑制できると考えられる。早期発見、レヴィ小体の検査方法の確立が望まれる。また、レヴィ小体は、リン酸化されたα-シヌクレインの凝集と判明しているので凝集のメカニズム解明が急務。  α-シヌクレインの凝集を抑制する物質
クミンアルデヒド
(ユーカリ、ミルラ、カシア、クミンなどに含まれる)、
ピロロキノリンキノン
(納豆、パセリ、豆腐、緑茶、ピーマン、パパイヤなどに含まれる)、
フラボノイド(、ワイン、ココア、紅茶含まれる)、
アントシアニン
( ブドウの実皮やムラサキイモ、ブルーベリーなど含まれる)酸化還元補酵素もα-シヌクレインの凝集や蓄積が抑えられると発表されているので数多い検証が待たれる。
その他、ASC細胞(皮下脂肪に含まれる細胞)も神経細胞の修復に活用の可能性が見出されているので検証が期待できそうである。

レヴィ小体の蓄積の進展
① 嗅神経系より進行
  うつ症状 → 認知症 → 味覚、臭覚が鈍感 → 体温調節、
  下垂体ホルモンの調節、摂食行動や飲水行動、性行動、
  睡眠などの本能行動、怒りや不安などの情動行動に関与
  した支障。

② 腸管系より進行
  内臓(呼吸器系、消化器系、心臓、血管、結腸)の
  副交感神経系 → うつ病、パニック障害、REM睡眠症
  → 上顎神経、下顎神経、顔面神経、表情筋の運動で、
  涙腺、唾液腺の分泌、味覚などに支障 → 平衡の感覚
  → 中脳による聴覚 → 運動神経系(パーキンソン病
  発症) → 側頭葉による認知、聴覚 → 痛みの体験や
  喜怒哀楽や不快感、恐怖などの基礎的な感情 → 思考
  や創造性、情動・動機づけ、意思決定に関与した支障。


Braak仮説について
2003年 臨床病理的研究で発表した、Braak(ドイツの病理学者)のBraak仮説では、抗α-シヌクレイン抗体を用いて高齢者の中枢神経系におけるレヴュ小体(Lewy小体)の分布を詳細に検討し、Lewy小体はまず嗅球に出現、迷走神経背側核(延髄)、視床と、その後、下部脳幹(橋)、中脳黒質、
扁桃体へ上行進展して運動症状を発現させる。
さらに前脳基底部(basal forebrain)、側頭葉皮質、大脳新皮質へと上行拡大して、精神症状など様々な 非運動症状に関係すると考えられている。また、Zaccai博士の報告によると扁桃体に優位にLewy小体が分布しているとの報告もある。

レヴィ小体がパーキンソン病を起こす
Braak仮説では、嗅粘膜と腸管の上皮から病原体(neurotropic pathgen)が侵入して、Lewy小体を形成。

病原体の侵入経路(神経核・脳部位)
 ① 嗅粘膜 → 前嗅神経核 → 扁桃体→海馬 → 視床下部
  (運動神経系核、大脳皮質嗅覚野(眼窩前頭皮質)
 ② 腸管粘膜 → 粘膜下神経叢 → 副交感神経節前線維 →
  迷走神経背側運動核 → 青斑核・橋 → 中脳 → 黒質
  →  側頭葉 → 島皮質 → 帯状回 → 前頭前野。

①臭覚系より病原体の侵入経路による起因する脳部位・
 神経核の概略説明。

 ・臭覚路: 臭いは嗅覚線維 → 嗅球 → 終止部位
  (前嗅核、嗅結節、扁桃核、梨状葉皮質、視床下部)
 ・扁桃体:扁桃核 → 海馬 → 脳弓 → 視床下部の乳頭体、
  中隔核。
  快・不快、平気・恐怖、接近・回避・攻撃の判断などを
  司る。この部位を破壊されたサルは、普段は怖がって逃
  げる犬を近づけても逃げなくなります。また、猫や鼠
  は、嫌な臭いの物を近づけられても避けようとしなくな
  ります。
 ・海馬:過去の経験記憶、学習によっても危険を回避し
  ますが、海馬はこの学習に関して大きく作用。
  海馬には「大人になっても新しく神経細胞が作れる・
  長期増強が可能」という特異な性質がある。
 ・視床下部:視床下部 → 脳幹 → 運動神経起始核。
  視床下部 → 大脳皮質嗅覚野(眼窩前頭皮質)に伝わり
  臭いを認識する。視床下部が嗅覚、味覚、情緒の統合
  センターであると同時に、自律神経系、内分泌系の中枢
  部位としての役割を果たしています。


②腸管系より病原体の侵入経路による起因する脳部位・神経
 核の概略説明。

 ・迷走神経:迷走神経は主として胸腹部の内臓を支配する
  副交感性の神経で知覚性で、副交感部は呼吸器系、
  消化器系、心臓、血管などの内臓を下行結腸のレベル
  まで支配する。
  1)外耳道皮膚の温痛感覚の情報を伝える。
  2)喉頭・喉・気管・食道・腹部内臓の感覚の情報を
    伝える。
  3)咽頭下端からの味覚、咽頭下半・喉頭・諸臓器から
   の一般感覚を伝える。
   大脳皮質、三叉神経、舌咽神経、孤束核、迷走神経
   背側核などから出力を受ける。燕下、せき、嘔吐など
   の反射にとって重要。

 ・青斑核:ノルアドレナリン(神経伝達物質や副腎から
  血液に放出されるホルモン)作動性神経細胞を多数
  含む神経核。ストレスとパニックに対する生理学的
  反応に関与し、脊髄、脳幹、小脳、視床下部、視床
  中継核、扁桃体、終脳、大脳皮質などに出力している。
  ノルエピネフリンは多くの脳部位を興奮させ、ニュー
  ロンを活性化させる。うつ病、パニック障害、REM睡眠
  症に関与する部位で、アルツハイマー病ではノルアド
  レナリン神経細胞の最大70%が失われている。

 ・:三叉神経、外転神経、顔面神経、聴神経といった
    多くの脳神経核が存在。
    ・三叉神経:眼神経、上顎神経、下顎神経の三神
     経。体性運動性と知覚性の混合神経。
    ・外転神経:眼球を外側を見るように動く神経。
    ・顔面神経:顔面に分布し主として表情筋の運動を
     司る神経、涙腺、唾液腺の分泌、味覚などに関
     係。
    ・聴神経 :平衡の感覚を伝える。体が傾いている
     か否かを感じる神経。

 ・中脳:上丘は、視覚反射の中継所。目に光が入った
      ときに瞳孔を収縮させる対光反射、見ている
      物が近づいたときにレンズを厚くしてピントを
      合わせる調節反射、同時に視線を内側に寄せ
      る輻輳反射に関わる。
      下丘は、聴覚の中継所。耳から入った音の
      信号は蝸牛神経を通って蝸牛神経核で中継、
      下丘に入る。
      下丘から出た信号は内側膝状体へ送られ、
      中継された後聴放線を作って大脳皮質に送ら
      れる。

 ・黒質:黒質-緻密部は、線条体へドーパミンを放出、
      線条体のD1受容体、D2受容体に作用する。
      黒質-網様部は、線条体からのGABA入力
      (直接路)、淡蒼球内節からのGABA入力
      (間接路)、視床下核からのグルタミン酸入力
      など。軸索を運動性の視床核へ出力する。
      視床核は、運動性の皮質領野へ軸索を伸ばし
      出力している。また、上丘や脚橋被蓋核など
      脳幹の一部にも出力する。

 ・側頭葉:側頭葉は聴覚処理に関わりる。また、音声や
      文字の意味にも強く関わっている。また、
      記憶、認識に関わりダメージを受けると
      「昔のことは思い出せるが、新しいことが憶え
      られない」

 ・島皮質:痛みの体験や喜怒哀楽や不快感、恐怖など
      の基礎的な感情の体験に重要な役割を持つ。
      視床を介して恒常性に関する求心性の経路か
      ら入力を受け、扁桃体や線条体腹側部、
      前頭眼窩野などの、他の多くの辺縁系に関連
      した領域に出力する。
      島皮質前部は、嗅覚、味覚、内臓自律系、
      及び辺縁系の機能により強く関わり、
      島皮質後部は聴覚、体性感覚、骨格運動と
      より強く関わっている。

 ・帯状回:大脳辺縁系の各部位を結びつける役割を
      果たし、感情の形成と処理、学習と記憶に
      関わりを持つ部位。また、血圧、心拍数、
      呼吸器系の調整、共感、情動、認知機能に
      関わりを持つ。

 ・前頭前野:思考や創造性を担う脳の最高中枢。老化
      に伴って最も早く機能低下が起こる部位の
      一つでもある。情動・動機づけ機能とそれに
      基づく意思決定過程、さらに社会的行動、葛藤
      の解決や報酬に基づく選択など、多様な機能
      に関係している。
      前頭前野に損傷を受けても、健忘症のような
      記憶障害は生じないが、「いつ、どこかで何を
      しなければならない」という将来の予定に関す
      る記憶(展望記憶)の障害、あるいは情報を
      いつ、どこで得たのかという記憶(出典記憶 )
      の障害、どちらが先に起こったのかという順序
      の記憶の障害は見られる。

パーキンソン病の医師をはじめ研究者、医療関係者、情報開示して頂いている方々に感謝。

       ひらめき パーキンソン病のメカニズム

⑧新たな知見「ジストニア」

・IP3受容体が小脳と脳幹で機能しないと全身性ジストニアを
 発症。

独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター 発生神経生物研究チームが2013年9月13日に発表。

「ジストニア」は、持続的な筋肉の収縮が不随意に起きて、身体の捻転や硬直、反復運動などを生じる中枢神経系の難治性障害です。病態が多様なことから、神経回路レベルでの詳細なメカニズムは明らかになっていません。これまで、パーキンソン病などと同様に、運動の制御に関わる大脳基底核の異常な活動が原因とされていました。しかし、最近の研究で小脳の異常活動もジストニアの発症に関わることが明らかになってきました。ただ、小脳の神経活動が発症にどう関わっているのかの詳しいメカニズムは未解明のままでした。

認知症、アルツハイマー病など脳に関わるさまざまな疾患は、脳神経回路上を情報が正しく伝達されない時に発症すると考えられています。この脳神経回路の情報伝達に欠かせないものの1つがが神経細胞内にあるカルシウムです。しかし、カルシウム濃度が過剰になると細胞に悪い影響を与えるため、濃度を調節する必要があります。この濃度調節に重要な働きをしているのが「イノシトール三リン酸(IP3)受容体」です。IP3受容体は、細胞内にある“カルシウム貯蔵庫である小胞体の膜上に存在します。

理研の研究グループは、以前から、このIP3受容体に着目し、これまでにIP3受容体の1つである「IP3R1」を欠損させたマウスが、捻転や硬直などてんかんに似た発作を起こすことを明らかにしてきました。今回、IP3R1欠損マウスにみられる発作を起こす脳の部位や神経回路を特定するため、小脳と脳幹だけでIP3R1を欠損させたマウス(小脳/脳幹KOマウス)など3種類のIP3R1欠損マウスを作製し、観察しました。その結果、小脳/脳幹KOマウスだけが発作を起こしました。また、延髄にある神経細胞群の下オリーブ核から小脳にある情報出力神経細胞のプルキンエ細胞への入力頻度が上昇し、プルキンエ細胞が特徴的な神経活動のパターンを起こすことが、ジストニアの硬直と密接に関わっているという確証を得ました。さらに、ジストニアは、大脳基底核を含まない神経回路で起きることも示し、従来の大脳基底核の異常活動が原因という説とは異なるメカニズムを突き止めました。今後、「小脳から出力された異常情報が、大脳からの随意信号の情報とどのように交わってジストニアの症状を起こすのか?」などを解明していくことが、新しい治療法の確立につながると考えられます。

ひらめき パーキンソン病のメカニズム
小脳/脳幹だけでIP3R1を欠損させたマウスにおけるジストニア発症メカニズムのモデル

⑦PD 発症 Braak 仮説

2003年 臨床病理的研究で発表した、Heiko Braak(ドイツの病理学者)のBraak仮説では、抗α-シヌクレイン抗体を用いて高齢者の中枢神経系におけるLewy小体(レヴューしょうたい)の分布を詳細に検討。

Lewy小体の進行
まず嗅球に出現、迷走神経背側核(延髄)、視床と、その後、下部脳幹(橋)、中脳黒質、扁桃体へ上行進展して運動症状を発現させる。
さらに前脳基底部(basal forebrain)、側頭葉皮質、大脳新皮質へと上行拡大して、精神症状など様々な非運動症状に関係すると考えられている。また、Zaccai博士の報告によると扁桃体に優位にLewy小体が分布しているとの報告もある。

Braak仮説では、嗅粘膜と腸管の上皮から病原体(neurotropic pathgen)が侵入して、Lewy小体を形成してパーキンソン病を起こす。

病原体の侵入経路・出現進展
1)嗅粘膜 → 前嗅神経核 → 海馬 → 扁桃体 → 中枢神経系へ。
2)腸管粘膜 → 粘膜下神経叢 → 副交感神経節前線維 → 迷走
  神経背側運動核 → 延髄 → 橋 → 青斑核 → 黒質へ。
  大脳皮質では、側頭葉(前内側部) → 側頭葉(外側皮質) →
  島皮質 → 帯状回 → 前頭前野。

参考文献:Braak H, Del Tredici K, Rub U, et al : Staging of brain
     pathology related to Sporadic Parkinson's disease.
     Neurobiol Aging 24 : 197-211.2003

Lewy小体の出現に関連した神経変性疾患、変性する神経細胞の部位 :
パーキンソン病:黒質、線条体、視床、橋、青斑核。
Lewy小体認知症:大脳新皮質、辺縁系、扁桃核。
自律神経症: 末梢自律神経系。

⑥ドーパミン トランスポーター

以前よりパーキンソン病 症状、On-Off、wearing-off症状が、L-dopaを服用後4-7年後起るメカニズムを調べたかった。一説には過剰( 遊離 )ドーパミンを取り込むドーパミン トランスポーター(DAT)の機能不全とある。では、DATの機能改善をできればパーキンソン病症状の改善に一部つながるのではないか??と考え文献の調査を行った。また 神経細胞変性に対してグルタミン酸の関与があるとの報告もある。

ドーパミンの放出量と調節
ドーパミン トランスポーター( DAT )とドーパミン受容体で調節されている。
神経細胞終末で放出されたドーパミンをドーパミン受容体で受け取り、余ったドーパミンをDATが回収することにより脳内のドーパミン放出量が調整されている。

ドーパミンが多すぎると
統合失調症、陽性の症状「幻覚」・「妄想」・「精神依存」が見られる。
コカインやアンフェタミンは、ドーパミン トランスポーターがドーパミンを回収する際、通路を塞ざすことでドーパミン回収を妨げる。その結果、DATとドーパミン受容体のあいだに回収されないドーパミンが多くなり溜り、次のドーパミン分泌(放出)とかさなり大量のドーパミンがドーパミン受容体に送くられる。

ドーパミン量が少ないと
統合失調症、陰性症状「認知機能障害」・「うつ病」
・「パーキンソン病 症状」になってしまう。


ドーパミン トランスポータは恒常的にトランスフェクト
PC12細胞株におけるプロテインキナーゼC調節方法で内部化とリサイクル

ドーパミントランスポーター(DAT)は、細胞外環境からドーパミンを除去し、強力にコカイン、アンフェタミン、メチルフェニデートと(リタリン)などの向精神薬の数によって阻害される。証拠の複数の行は、プロテインキナーゼC(PKC)は、主にトランスポーターの隔離を促進するメカニズムが定義されていないが、エンドソーム区画に原形質膜からDATを再配布することにより、ドーパミントランスポートをダウンレギュレートを示しています。ここでは、DATが恒常的に内部化およびラット褐色細胞腫(PC12)細胞内でリサイクルすることを示しています。温度の封鎖は、基底ナリとDATの細胞表面レベルを維持するためにリサイクルへの依存度を示した。対照的に、バフィロマイシンA1とリサイクル封鎖が大幅にトランスフェリンレセプター(TFR)表面での発現を減少させたが、DATの表面のレベルに影響を及ぼさなかった、異なるエンドソーム機構を介してそのDATとTFRのトラフィックを示唆している。運動解析は、トランスポーターの発現レベルの独立した、細胞膜との間で堅牢な構成DAT循環を明らかにした。対照的に、ホルボールエステル媒介PKC活性化はDATの発現レベルに依存した方法でDATのエンドサイトーシスと減衰トランスポーターのリサイクルを加速させた。これらのデータは、構成DATの人身売買を実証し、そのPKC媒介DAT隔離は加速ナリと減少リサイクルの組み合わせによって実現されます。さらに、構成と規制DATの人身売買によって示された発現レベルに差の感度は、これら2つのプロセスが独立した細胞メカニズムによって媒介されることを示唆している。

出典:The Journal of Biological Chemistry. Jun, 2003  

⑤アミノ酸からの産生経路

ドーパミン産生経路
フェニルアラニン
(必須アミノ酸)
⇓⇓
フェニルアラニン-4-モノオキシゲラーゼ酵素
⇓⇓
チロシン
(必須アミノ酸)
⇓⇓
チロシン-3-ヒドロキシラーゼ水酸化酵素
⇓⇓
レボドパ
(L-dopa)
⇓⇓
ドーパ脱炭素酵素
⇓⇓
ドーパミン
ノルアドレナリン
産生経路
アドレナリン産生経路
ドーパミン ノルアドレナリン
⇓⇓

ドーパミン-β-
モノオキシゲナーゼ
(酸化還元酵素)
ビタミン
Cが必要

⇓⇓
  ⇓⇓

フェニルエタノール
アミン-N-
基転移酵素

 ⇓⇓
ノルアドレナリン アドレナリン
セロトニン産生経路 アミン産生経路
蛋白質
( 小腸から吸収 )
蛋白質
( 小腸から吸収 )
 ⇓⇓

肝臓の酵素で分解

⇓⇓
⇓⇓
クロム親和性細胞
(内分泌細胞)酵素分解
⇓⇓
ペプチド
(アミノ酸から出来る
分子)
⇓⇓

酵素分解

⇓⇓
トリプトファン
(必須アミノ酸)
トリプトファン
(必須アミノ酸)
⇓⇓
トリフトファン水酸化酵素
⇓⇓
芳香族L-アミノ酸
脱炭素酵素
⇓⇓
⇓⇓

酵素分解
⇓⇓

セロトニン アミン

④私見PDの出現症状

はじめに
「パーキンソン病のお話し」ページで検索して述べましたが、短的に言いますと、大脳基底核の黒質緻密部で神経伝達物質のドーパミンが作られなくなっているか、黒質 緻密部から線条体へ繋がっている神経細胞が減少しているかが原因で、様々な症状が出現して来ると考えられています。また、神経細胞の減少によりドーパミン貯蓄能力が減少、ドーパミン産生が減少が原因として示唆されています。
この事をベースに考えて家内のパーキンソン病の出現症状(過去2年間)を振り返ってみると
①運動障害(振戦・歩行困難・下肢の固縮・上下肢の
 固縮・唇、顔面の固縮・無動・足首以下のジストニア)
②非運動障害(構音障害・流涎症状・幻覚、幻聴、妄想・
 傾眠・感覚障害・息苦しい、悪夢・胃痛・不安感・微熱
 ・低血圧症・下肢浮腫・便秘・頭がぼんやり・認知錯誤
 障害(記憶障害)・REM睡眠異常行動・痰が絡む)の
 症状が出現している。
では、どのようなメカニズムで出現するのだろうかを調査。

ドーパミン伝達経路のドーパミン量により出現する症状

ⓐ黒質→線条体路
 この経路のD2受容体が長期に遮断されることにより
 遅発性ジスキネジアを引き起こす。
 錐体外路症状の症状が出現。
 ( 筋緊張亢進:黒質 → 線条体 → 淡蒼球。
  筋緊張低下:黒質 → 線条体 → 淡蒼球 → 視床)

ⓑ大脳 → 側坐核路(報酬系)
 食事の喜び、睡眠の喜び、成功した事の喜びなど生き
 る楽しさなどと関係。
 統合失調症-陰性症状で喜びや興味の減退などの
 症状。辺縁系ドーパミン経路のD2受容体を遮断して
 しまうことにより報酬系が正しく機能しないことが原因と
 考えられています。

ⓒ大脳 → 皮質路(認知機能)
 ストレス刺激で活性化すると、前頭前野のドーパミン
 D1受容体を介して前頭前野の行う認知・思考
 ・ワーキングメモリ等の機能を抑制して 背外側前頭
 前皮質に正しく現状を理解することや、必要な事柄を
 判断する認知に関与.。 
ⓓ隆起漏斗下垂体: ドーミンが阻害されるとプロラク
 チン濃度が上昇し、乳汁漏出症候群、無月経・
 インポテンツを引き起こします。

ⓔ大脳 → 間脳路: 腹側被蓋野(中脳)→ 間脳(視床・
 視床下部)、脊髄への投射する経路。 
 三叉神経脊髄路核に対する抑制に関与、レストレス
 レッグス症候群、下肢静止不能症候群、むずむず足
 症候群 (
アカシジア)、入眠障害、中途覚醒の合併症。
 下肢を中心に不快な異常感覚が、特に夕方から深夜
 にかけて出現する疾患で、かゆくなったり、
 痛くなったり、あるいは虫が這うような不快感を感じ、
 脚を動かしたいという強い欲求が起こるために不眠の
 原因となります。
 「むずむずする」・「じっとしていられない」・「痒い」
 だけでなく、「ピンでなぞられているような」
 ・「針で刺すような」・「火照るような」・「蟻やミミズ
 などの虫が這っているような」などの異様な感覚が
 現われ、時には「振動」を感じる場合もある。

その他
 精神病薬はヒスタミン作用による体重増加、αアドレ
 ナリン遮断作用による心血管障害、ムスカリン性、
 アセチルコリン阻害による口渇、かすみ目、便秘。

以上の事より出現症状は、ドーパミン不足によりドーパミンとアセチルコリンとの不均衡、ドーパミンとGABA神経伝達物質のバランス崩れにより運動症状は、+。非運動症状は、+ +
により派生する出現症状と予測が出来たが、まだ説明の付かない出現症状は、薬の副作用の悪性症候群で説明がつく。まだ、気に成る点があるので後に述べたい。

では、神経伝達物質の量により起こり得る症状を調査。

ドーパミン量が増えると起る症状。統合失調症の陽性症状ドーパミンが上昇)。
思考障害:他人の質問に対し、的外れな答えを返す。考えがまとまらず話がまとまらない。
    幻聴:聴覚の幻覚。(人の声、音に敏感)
    幻視 : 視覚の幻覚。(存在しない物が見える)
    幻嗅:嗅覚の幻覚。(臭いに敏感)
体感幻覚 :体性感覚の幻覚。(皮膚・筋肉・間接で視床
               が関与)

ドーパミン量が減少すると起こる症状。統合失調症の陰性症状(ドーパミンが低下)。
認知機能障害、記憶力、注意・集中力、計画、思考、
判断、実行、問題解決などの複雑な知的能力の欠如。
不安感・焦燥感・緊張感、自発性の低下(自分ひとりでは何もしようとせず、家事や身の回りの事にも自発性が
ない、感情の動きが乏しくなり無関心)また、なんとなく
胃が痛い、病院にいって検査しても異常がないなど。

 運動障害:不随意運動(筋固縮、寡動、無動、振戦、
       関節が硬く引っ掛かりを持つ歯車様固縮)。
       アセチルコリン量が増えると起る症状。

 運動障害:不随意運動(筋固縮、寡動、無動、振戦、
      関節が硬く引っ掛かりを持つ歯車様固縮)。

ノルアドレナリン量が減少すると起こる症状。
姿勢調節機能障害、すくみ足。

長期抗パーキンソン病薬投与で起こる症状。
 ・悪性症候群: 発熱(微熱で始まることもあるが、
  38-40℃に至る高熱)、発汗、嚥下障害、
  流涎(よだれを流す)、言語障害、頻脈
  (脈が速くなる)、循環障害、脱水症状、意識障害、
  呼吸障害 、無動(身動きしない、しゃべれない)、
  筋固縮、 振戦。
 ・ウエアリング-オフ(Wearing-off):抗パーキンソン薬
  の効果継続時間が短縮し症状が変動する状態。
 ・遅発性ジスキネジア: 顔の表情をつくる筋肉や口の
  周辺、顎、舌、さらに手足や体そのものが自分の
  意志とは無関係に周期的に動くようになる不随意
  運動症状。
 ・遅発性ジストニア:顔の表情をつくる筋肉や口の周辺
  、顎、舌、流涎、構音障害、さらに手足や体そのもの
  が自分の意志とは無関係に動き硬直する不随意運動
  症状。

off時で起こる出現症状が主であるが、on時からoff時に向かうドーパミンの血中濃度の下降期に上・下肢は動くが、唇が前に突き出す時と構音障害が出現の時と、また、顔の固縮
(無表情)からoff状態になる順序がある。
パーキンソン病の患者さんの症状は様々と聞いているが、
運動症状出現に対して順序がどうも有る様に感じられる。
また、服薬後onに向かう時も約1分ぐらいジスキネジアが
起りonに成る時と、突然onに成る時がある。
on時でも、微妙な痺れを訴える時もある。
二相性ジスキネジア(Diphasic-Dyskinesia)の対症は無いとされているが、ロピニロール徐放剤服用して出現は減少した。(ドーパミン受容体は、まだ活動していると安堵)

パーキンソン病患者には、適切量、適切な時期にドーパミンを大脳基底核に補給してやる事が大切。多すぎても副作用が出現、少なすぎればパーキンソン病症状が出現。
以上

今後、検索等を含め調べたいことは、
①大脳前頭葉(運動野)→ 脳幹 → 中脳 → 橋 → 延髄
 → 脊髄への信号伝達よりの各部位からの優先順位の
 有無。
②外的情報要因である視覚、聴覚、臭覚よりもたらされ
 情報により、過去の記憶(トラウマ)から扁桃体への
 刺激、自律神経への影響とEMDR療法(Eye Movement
 Desensitization & Reprocessing)が影響する右脳
 感覚野と左脳の働き。
③線条体から淡蒼球に出力する直接路、間接路の電流
 の強弱(バランス)。
④ドーパミントランスポーター(DAT)の浮遊ドーパミン
 回収した後、細胞内でリサイクルする細胞メカニズム。
⑤神経細胞の維持・修復・再生が気にかかる。

パーキンソン病の医師をはじめ研究者、医療関係者、情報開示して頂いている方々に感謝。

ド-パミン量 上昇・低下時の症状

ウェアリング-オフ(Wearing-off)症状で、ピーク ダズ ジスキネジア (peak-dose Dyskinesia)、
オフ-ピリオド ジスキネジア(off-period Dyskinesia)の非運動症状が気にかかり調査。

ドーパミン量に異常が起こることによって精神症状(統合失調症、躁うつ病、うつ病、痴呆、せん妄、薬物依存など)を引き起こされます。
統合失調症の陽性症状が表れているときはドパミンが上昇。陰性症状が顕われている時はド-パミンが低下。

陽性症状:思考障害(他人の質問に対し、的外れな答え
     を返す。考えがまとまらず話がまとまらない)
     幻聴:聴覚の幻覚。(人の声、音に敏感)
     幻視 : 視覚の幻覚。(存在しない物が見える) 
     幻嗅:嗅覚の幻覚。(臭いに敏感)
     体感幻覚 :体性感覚の幻覚。(皮膚・筋肉・
     間接で視床が関与)

陰性症状 : 認知機能障害、記憶力、注意・集中力、
     計画、思考、判断、実行、問題解決などの複雑
     な知的能力の欠如。
     不安感・焦燥感・緊張感、自発性の低下
     (自分ひとりでは何もしようとせず、家事や身の
     回りのことにも自発性がない、感情の動きが
     乏しくなり無関心)また、なんとなく胃が痛い、
     病院にいって検査しても異常がないなど。

ひらめき パーキンソン病のメカニズム

腹側被蓋野 → 中脳辺緑系 → 妄想、幻覚(陽性症状)
腹側被蓋野 → 前頭葉・側頭葉 → 意欲低下(陰性症状)

②PD とジストニアのメカニズム

パーキンソン病の出現症状とジストニア症状の違いを把握したいと考え大脳基底核 神経伝達物質ブロック図を作成し何が起こっているかをまとめました。

パーキンソン病の発症原因
黒質のドーパミン神経伝達物質の量が少なくなったため、黒質(緻密部)→ 線条体への神経細胞の変性、神経細胞の蛋白質分解異常、線条体の直接路(興奮系)、間接路(抑制系)のパランスが崩れたため等々、さまざまな説がありますが、現状 発表されている文献を参照してまとめました。まだ発症原因メカニズムは解明されていない点が多く出現症状が患者個々により異なり今後の解明に期待したい。

ひらめき パーキンソン病のメカニズム

ひらめき パーキンソン病のメカニズム
 正常とパーキンソン病との比較(出力)
  ・黒質(緻密部)→ 線条体:低下
  ・線条体(D1)→ 淡蒼球(内節):
低下
  ・淡蒼球(内節)→ 視床:
亢進
  ・淡蒼球(内節)→ 黒質(網様部):
正常
  ・淡蒼球(外節)→ 視床下核:
低下
  ・淡蒼球(外節)→ 淡蒼球(内節):
低下
  ・視床下核 → 淡蒼球(外節):
低下
  ・黒質(網様部)→ 視床:亢進
  ・視床 → 線条体:
低下
  ・視床 → 大脳皮質:低下
  ・大脳皮質 → 視床下核:正常
  ・大脳皮質 → 脳幹:
低下


ひらめき パーキンソン病のメカニズム

正常とジストニアとの比較(出力)
  ・黒質(緻密部)→ 線条体:低下
  ・線条体(D1)→ 淡蒼球(内節):
亢進
  ・淡蒼球(内節)→ 視床:正常
  ・淡蒼球(内節)→ 黒質(網様部):
亢進
  ・淡蒼球(外節)→ 視床下核:
低下
  ・淡蒼球(外節)→ 淡蒼球(内節):
低下
  ・視床下核 → 淡蒼球(外節):
低下
  ・黒質(網様部)→ 視床:
低下
  ・視床 → 線条体:
低下
  ・視床 → 大脳皮質:亢進
  ・大脳皮質 → 視床下核:
正常
  ・大脳皮質 → 脳幹:
亢進

運動症状の出現
Braak仮説によると、抗α-シヌクレイン抗体を用いて
高齢者の中枢神経系におけるLewy小体の分布を詳細に
検討し、Lewy小体はまず嗅球に出現、迷走神経(延髄)
背側核(視床)と、その後、下部脳幹(橋)、中脳黒質、
扁桃体へ上行進展して発現させる。

Braak仮説:嗅粘膜と腸管の上皮から病原体(neurotropic pathgen)が侵入して、Lewy小体を形成して
パーキンソン病を起こす。病原体の侵入経路は、
  1)嗅粘膜 → 前嗅神経核 → 中枢神経系へ。
  2)腸管粘膜 → 粘膜下神経叢 → 副交感神経節前線維 → 迷走神経背側運動核へ。

①前頭葉とドーパミン量

2013年2月よりCOMT錠を1/2に削減してOn状況が延長した結果を見て薬の適切な量の大切さを認識。ドーパミンに対しても現状の量が適切かが疑問になり今月6月より1日量の1/10を削減を行った。何か研究発表が無いか検索を行った結果2006年に下記内容の研究発表がなされていた。

研究発表内容
前頭前野の高次機能は神経伝達物質のドーパミン、セロトニン、ノルエピネフリン、GABA(ガンマアミノ酪酸)などによって作動が知られている。これらの物質が欠乏すると、ワーキングメモリー課題の遂行、プラニング、意思決定や反応抑制の障害を示したり、情動障害を示したりする。
ドーパミンは大脳皮質の中では前頭葉に最も多く分布しており、前頭前野の働きに最も重要な役割を果たす神経伝達物質である。ドーパミンの働きの異常に関係した病気であるパーキンソン病や統合失調症の患者は,前頭前野機能に関係した課題で成績が悪くなる。
サルの前頭前野にドーパミンの阻害剤を投与してドーパミンを枯渇させると,サルは前頭前野が関係する色々な課題が出来なくなる。一方ドーパミンは欠乏だけでなく,多すぎてもこうした課題に障害を起こす。前頭前野が効率的に働くためには,ドーパミン量がある「最適レベル」にある必要があると考えられている。強いストレスは前頭前野内のドーパミン濃度を上昇させる。一方、老化に伴って前頭前野内のドーパミン濃度は減少する。どちらの場合も認知機能は低下するが、濃度を適度に下げる,あるいは上げるような薬物を投与すると前頭前野は効率的に働くようになる。またワーキングメモリー課題の成績が良くないヒトにドーパミンの働きを高める薬物を投与すると課題成績が良くなる一方、もともと成績のよいヒトにそうした薬物を投与すると課題成績が悪くなる、ということも見られる。ドーパミンの受容体にはD1からD5の5種類があるが、認知課題に最も重要なのがD1受容体である。ニューロンレベルの研究で、このドーパミンD1受容体の作動薬を微量投与すると、投与量とワーキングメモリー関連ニューロン活動の間にも、逆U字の関数関係が認められる。すなわち適切な投与量ならS/N比がよくなることによりワーキングメモリー活動は促進されるが、投与量が少なすぎる、あるいは多すぎる場合はワーキングメモリー活動が促進されることはなく、阻害される場合もある。サルの前頭前野の外側部にドーパミンD1受容体の作動薬を投与すると、視覚連合野の刺激反応性が向上するという報告がある。これはさきに述べた前頭前野のトップダウン信号にドーパミンが重要な役割を果たすことを示す。
カテコール-O-メチル基転移酵素 (catechol-O-methyl transferase; COMT)は、ドーパミンやノルアドレナリンなどのカテコールアミンとよばれる神経伝達物質の代謝酵素である。ヒトのCOMTには遺伝子多型があり、最初のメチオニンから数えて158番目のアミノ酸がバリン(Val)の場合とメチオニン(Met)の場合がある。COMTの酵素活性は、Val型の方が高いので、前頭前野でのドーパミンの分解はVal型で早く、Met型の者は、Val型の者よりも、ドーパミン代謝が減弱している。その結果Val型のヒトは前頭前野活動が非効率的で認知課題の遂行が落ちる傾向にある。ヒトにドーパミンの働きを高める薬物を投与すると、同じ量でもVal型のヒトではワーキングメモリー課題成績が上昇するのに、Met型のヒトでは課題成績が減少する、ということも見られる。ここでも前頭前野におけるドーパミンと認知行動の間の逆U字関数関係が見られる。ただ、遺伝子多型と行動との関係は複雑であり、課題の条件やドーパミン量の操作法に関係して、いろいろな研究の結果は必ずしも一致しているわけではない。

参考文献
G V Williams, S A Castner
Under the curve: critical issues for elucidating D1 receptor function in working memory.
Neuroscience: 2006, 139(1);263-76 [PubMed:16310964]