パーキンソン病(PD)を発症して約6年後、認知機能に異変が!!医師に症状を伝えていたが認知機能障害と認めてもらえず、9年後画像検査により初めて診断された。
認知症には、アルツハイマー型、レヴィ小体型、脳血管性、前頭側頭葉変性症、その他にスピロヘータ、ウイルス、プリオンなどの感染性因子により、神経細胞が傷害されて起こる認知症があります。
PDが進行してレヴィ小体型認知症に成る事があり、PD患者の認知症を発症するリスクは健常者の約5〜6倍と考えられて、PD患者の40%が、認知症を合併しているとの報告があり、8年間の追跡調査で、78%が認知症を発症との報告があります。
PDと認知症(PDD)の知見を増やし症状を理解、対応することで、QOLの向上が図ることが可能です。
Page Contents (詳細は下部をクリック)
・認知機能障害
・PD・精神症状と認知症の関係性
・PD進行に伴うレヴィ小体型認知症
・PD・認知症の診断・検査
・認知症 薬
・「アルツハイマー病」新たな知見
・認知症の予防
認知機能障害認知機能障害(認知症)認知機能障害とは??認知機能障害とは、「知能が後天的に低下した状態」を指し、脳の障害が持続的に低下し進行性する障害。 症状は中核症状と周辺症状(BPSD)に分類できます。 原因は不明で、アルツハイマー型、レヴィ小体型、脳血管性、前頭側頭葉変性症、その他にスピロヘータ、 ウイルス、プリオンなどの感染性因子により、神経細胞が傷害されて起こる認知症、低血糖が引き起こす 認知症があります。 また、パーキンソン病が進行してレヴィ小体型認知症に成ると示唆されています。 原因・要因 ・アルツハイマー型の原因は不明ですが、アミロイドβ蛋白質の凝集により神経原線維変化を生じ、神経細胞死 へと至るといアミロイドカスケード説が主流。また、神経原線維変化を構成するリン酸化されたタウ蛋白質に 注目する立場も有力です。運動障害は一般的に出現しない。 ・レヴィ小体型の原因は、αシヌクレイン蛋白質の凝集(レヴィ小体)と考えられ、出現する脳部位が @延髄から上行するタイプ、 A扁桃核から大脳皮質、脳幹へ進展するタイプ、 B大脳皮質から脳幹方向に下向するタイプが考えられている。 ・前頭側頭葉変性症については、鍵となる脳内構造物が明らかになりつつあり原因解明が期待されています。 ・脳血管性の原因は、脳の血管が詰まったり破れたりして大脳深部の白質線維の連絡機能が断たれることで脳細 胞が死滅して認知症症状、運動障害も出現。また、海馬、視床、尾状核など重要な脳部位に梗塞を生じ限局性 であっても高次脳機能障害をきたす。 症状 中核症状(認知機能障害)には、 @ 記憶障害:物を見て覚えたり理解したりする能力が低下、体験したことを丸ごと忘れてしまう、古い出来事 より新しい出来事を忘れる傾向性が有る。 A 見当識障害:日付、時間や場所、空間などが分からない、自分が置かれている状況を正しく認識できない。 B 判断力障害(実行機能障害):思考力や判断力も低下し、物事を論理的に順序立てて考えられない。 C 高次機能障害(失語・失認・失行): 1.失語:発話量の減少、構音障害。 2.失認:視覚的に提示したものが解らない、地図が描けない。 3.失行:衣服が着られない、指示された行動が出来ない。 周辺症状(心理症状、脱抑制、行動異常症状)には、 @ 妄想・幻覚・錯覚:被害妄想、存在しない物が見える、実際とは異なる対象物の存在、現象を見る。 A 睡眠障害:昼夜逆転・不眠。 B 食行動異常(異食):食べられない物を口にしたり、実際食べてしまう事。 C 徘徊:あてもなく、うろうろと歩きまわる。 D 介護抵抗:介護を嫌がる。 E 暴言・暴力:乱暴な言葉や暴力をふるう。 F 不安症・抑うつ:精神的感情が不安定になる。 G せん妄:意識障害で不安感や錯覚、幻覚を伴い異常行動、言動、興奮が見られる。 進行すると味覚や嗅覚、痛覚といった知覚に障害が起きてくることもあります。 |
認知機能障害の分類 (変性性認知症と脳血管性認知症に分類できます) ・変性性認知症には、アルツハイマー型(AD)、レヴィ小体型(DLB)、前頭側頭葉変性症(FTLD)、認知症を伴う パーキンソン病(PDD)等で神経細胞変性で起こる認知症。 ・脳血管性認知症(VD)は、脳梗塞、血流が悪いため病変で起こる認知症。 認知症患者の割合は、アルツハイマー型44%、レヴィ小体型21%、前頭側頭葉変性症15%、脳血管性10%、その他10%と言われている。 分類・誤診 初めはアルツハイマー型だったのに途中からレヴィ小体型に移行するケースも多く、レヴィ小体型とピック病、あるいはアルツハイマー型と脳血管性の混合型など、さまざまなタイプがあります。 レヴィ小体型はアルツハイマー型やパーキンソン病と、また。ピック病(前頭側頭葉変性症の一つでドーパミン過剰)は精神病とよく誤診されやすい。 認知機能障害の特徴
パーキンソン病では遂行機能障害、記憶、言語機能、注意機能、視覚認知等(記憶・視知覚・遂行機能)の高次脳機能に障害が生じるが、運動症状が前面に立つために気付かれにくい。古くはパーキンソン病に認知症は合併しないとされていたが、最近の研究では診断後12 年で60%、20 年後には80%に認知症が生じるとされる。 パーキンソン病に伴う認知症では、幻視や視空間認知障害、思考緩慢等、レヴィ小体型認知症と類似した症候を認める。関係脳部位は、側頭葉、頭頂葉、後頭葉と考えられています。 認知症の治療手順 リハビリテーション(以下、リハ)を行う(脳を活性化させる)。具体的には、 @ 「楽しい時間の共有」快刺激。 A 他者とのコミニケーション。 B 役割と生きがいの賦与。 で、リハには、バリデーション療法、リアリティオリエンテーション、回想法、音楽療法、認知刺激療法、運動療法などの心理社会的療法があります。 認知症のケア 尊厳」を重視するケア。例えば、「問題行動」を起こした時、その人の心の表現と解釈して意図とすること、 訴えたい事を把握し、本人の立場で対応する。 中核症状に対する薬 薬物療法としては、コリンエステラーゼ阻害(ChEI)薬が推奨されている。 周辺症状(BPSD)に対する治療 生活困難、介護者に影響する症状を対象とする。例えば、妄想、幻覚、興奮、攻撃性、叫び、不眠等。 薬物治療では、利点と危険性を検討に入れる。特にレヴィ小体認知症では錐体外路症を含め薬物過敏反応に 注意。 認知症を来たす疾患では、ミクローヌス、アテトーゼ、舞踏運動、不随意運動があり考慮。 参考文献: 認知症疾患治療ガイドライン2010、コウノメソッド、Clinical Rehabilitationジャーナル抜粋、及び改編。 |
PD・精神症状と認知症の関係性PD・精神症状と認知障害の関係性2013年4月13日発刊「Clinical Rehabilitation」ジャーナル22巻4号「長期経過におけるパーキンソン病の困難症状への対応 ”精神症の合併” 」に付いての述べられていたので一部を紹介したい。著者:和歌山県立医科大学神経内科教室 講師:廣西 昌也 教授:伊東秀文 介護者として知っておれば不要な心配事が少なく成り、対症も早くなる。 パーキンソン病の精神症状にはどのような種類があるか?? パーキンソン病に伴って生じる精神症状には睡眠障害、抑うつ、アパシー、幻覚・妄想・せん妄、認知機能障害、衝動制御障害、ドーパミン調節障害等がある。REM 睡眠行動障害のように運動障害が現れる以前から出現する症状もあるが、多くは疾患の進行に伴って頻度が高くなり、病状や病期に応じて早めに合併症の説明や対策を本人や家族に行っておくとよい。 認知障害・認知症とは?? パーキンソン病では遂行機能障害、記憶、言語機能、注意機能、視覚認知等(記憶・視知覚・遂行機能)の高次脳機能に障害が生じるが、運動症状が前面に立つために気付かれにくい。古くはパーキンソン病に認知症は合併しないとされていたが,最近の研究では診断後12 年で60%、20 年後には80%に認知症が生じるとされる。パーキンソン病に伴う認知症では、幻視や視空間認知障害、思考緩慢等、レヴィ小体型認知症と類似した症候を認める。関係脳部位は側頭葉、頭頂葉、後頭葉と考えられています。 うつ状態とアパシーとは?? うつはパーキンソン病患者の数%〜半数に認められ頻度が高い。パーキンソン病のうつは大うつ病に比べて悲哀感や罪悪感、自殺念慮等が少ない。アパシーは動機づけが欠如した状態で、「興味・関心の喪失」「やる気のなさ」が特徴である。うつの部分症状である場合と、うつとは独立して生じる場合がある。 せん妄・幻覚とは?? 進行期のパーキンソン病では高頻度にせん妄や幻覚がみられる。幻覚は人物や小動物の幻視が多く、本人に自覚があり、興奮や異常行動を伴わないタイプは疾患そのものによるものと考えられ、薬剤等による積極的な介入は難しい。むしろ本人や家族に良性のものであると伝え、症状との共存を図ったほうがよいが、全身状態の悪化や薬剤の副作用によるもの、また異常行動や興奮を伴う場合は全身状態の管理や厳密な薬剤調節が必要である。 パーキンソン病のおもな非運動症状 ・関連が明らかなもの: 嗅覚障害、便秘、睡眠障害[日中傾眠(ESD)、突発的睡眠、不眠症、REM睡眠行動異常(RBD)] うつ及び 不安症。 ・関連が示唆されているもの : 自律神経障害、視力障害、認知機能変化、アパシー、疲労、性格変化。 参考文献:Clinical Rehabilitationジャーナル抜粋、及び改編。 |
PD進行に伴うレヴィ小体型認知症PD進行に伴うレヴィ小体型認知症(DLB)レヴィ小体型認知症(レヴィしょうたいがたにんちしょう: Dementia with Lewy Bodies: DLB)。進行性の認知機能障害(変性性)で、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症と並び三大認知症と呼ばれて います。特徴は精神症状とパーキンソン症候群の症状が出現。パーキンソン病(PD)患者の40%が、認知症を 合併しているとの報告があり、8年間の追跡調査で、78%が認知症を発症との報告があります。レヴィ小体型認 知症(DLB)と認知症を伴うパーキンソン病(PDD)に 分類されています。 症状は、 中核症状:記憶障害、認見当識障害、健忘失語。 周辺症状: 認知機能の動揺、幻視、幻聴、妄想、パーキンソン症候群。 ・認知機能の動揺とは、頭がハッキリしている時とボーとしている時の様に認知機能変動が日内、時間により 起こる。 ・幻視は、存在しない人物や小動物が見え、反復性で具体的で詳細な内容のもの。また、錯覚 (木が人間に見えたり、壁のしみが顔にみえたり、対象物が別のものに見える現象。対象物が木やしみであり、 それぞれ人間や顔ではないと理解しているが一度そう思うと、どうしても人間や顔に思えてしまう)と連続性 がある。 ・パーキンソン症候群は、安静時振戦、寡動、筋固縮、姿勢反射障害、歩行障害、眼球運動障害。 示唆症状: レム睡眠行動障害、抗精神病薬に過敏、大脳基底核でのドーパミントランスポーター取り込み低下。 ・レム睡眠行動障害とは、骨格筋緊張の抑制が出来ず異常なレム睡眠が起る。 (生々しい悪夢を見て寝言、大声で叫ぶ、夢幻行動) ・抗精神病薬に過敏は、抗精神病薬投与に対してパーキンソン症候群の急激な出現や増悪、嚥下障害、過鎮静、 意識障害、悪性症候群などの過敏性を示す。 支持症状: 抑うつ状態、自律神経症状(起立性低血圧、食後低血圧、頑固な便秘、発汗)、失神、一過性の意識障害(失神に関しては脳幹部や自律神経系の機能異常によって生じる迷走神経反射障害) 病理学では、PD → PDD → DLBと連続性が見られ、レヴィ小体の出現が @延髄から上行するタイプ、 A扁桃核から大脳皮質、脳幹へ進展するタイプ、 B大脳皮質から脳幹方向に下向するタイプが考えられています。 (小阪憲司らが1995年提唱した びまん性「レヴィ小体が限定されずに広範囲に広がっている状態」の認知症が レヴィ小体型認知症です) 初期から注意障害、視空間障害、構成障害、実行機能障害などの前頭葉・頭頂葉障害に起因する症状を伴う。 認知機能障害の治療薬: アセチルコリン神経の起始核であるマイネルト基底核で神経脱落がアルツハイマー型認知症(AD)よりも高度であり、病態生理上もコリンエステラーゼ阻害薬はDLBの認知機能障害への効果が期待できる。 DLBではコリンエステラーゼ阻害薬に対しても錐体外路症状や自律神経症状、精神症状の増悪など過敏性が生じる例もあるが、このような例は少なくATDと同様の投与方法で問題はないと考えられている。 またNMDA受容体拮抗薬もメマンチンでRCTが行われており有効という結果が出ている。 ・コリンエステラーゼ阻害薬(ドネぺジル): 徐脈、嘔気、食思不振などの副作用が報告されているがパーキンソニズムの増悪はほとんど認められない。 ・NMDA受容体拮抗薬(アマンタジン): メマンチンもランダム化比較試験(RCT)が行われており有効という結果が出ている。 ・抑肝散(よくかんさん): 漢方薬も神経症、不眠症や幻覚に有効性が有ると示唆されている。 (セロトニン神経系のバランスを回復、グルタミン酸神経系の過活動を防止)。 他にガランタミン、レミニール、リバスチグミン、リバスタッチパッチ、イクセロンパッチが用いられて います。 |
PD・認知症の診断・検査PD・認知症の診断・検査PD・認知症の検査種類医師の問診の結果により検査が行われますが、近年、PD検査が進歩しました。検査の種類を紹介します。 ・PD除外検査 血液検査、尿検査、MRI、CTスキャーン、内分泌検査で異常が無い事を確認。 (癌、脳腫瘍、糖尿病、他の疾患が無い事を確認) ・UPDRSスケール パーキンソン病を総合的に評価する基準として、世界中の研究者や医師に広く良く用いられています。 ヤール重症度分類に比べてはるかに細かく評価することができます。 ・MIBG心筋シンチグラフィー検査 MIBGの集積が心筋に高度に低下している場合、心臓の交感神経機能の低下が疑われ、PD、レヴィ小体認知症の所見となる。 ・画像スペクト検査(SPECT:single photon emission CT) CTでは表わせなかった脳の血流量や代謝機能の情報が得られる。 ・DAT-scan検査 脳部位の線条体 → 黒質のドーパミントランスポータ(DAT)の密度が低下していかどうかが分かる。 (PD、レヴィ小体認知症では、DATの密度が低下している)認知機能疾患の検査。 パーキンソン病患者にL-dopaを150mg、300mg、600mg/日に分け1年間の観察期間後、臨床症状と、脳機能画像を比較検討結果では600mg/日のみで、線条体における有意なI-β CIT剤結合の低下が示唆。 ・PET検査(陽電子放射断層撮影) SPECTよりもなおいっそう代謝などの様子を正確に把握でき、脳の内部のブドウ糖やアミノ酸の代謝、酸素の消費量の変化を調べて、脳機能の障害部位を診ることができます。 また、脳疾患の病態解明や微小な腫瘍の発見には現在最も有効とされています。さらに、神経伝達物質とその受容体(レセプター)を測定することで、精神病の病態の解明にも役立つ。 (日本においては2015年3月現在、保険適応外) 記憶障害検査 ・長谷川式認知症スケール(HDS-R):PDの場合、比較的高い点数をしめす。 ・ウェクスラー式知能検査:詳細な検査を行うと認知機能障害が明らかになる。 (検査装置) |
認知症薬認知症 薬認知症の薬の種類コリンエステラーゼ阻害薬、NMDA受容体拮抗薬、抑肝散(よくかんさん)、イクセロンパッチが用いられて います。 ・コリンエステラーゼ阻害(ChEI)薬の種類
・NMDA受容体拮抗薬(アマンタジン) メマンチンもランダム化比較試験(RCT)が行われており有効という結果が出ている。また、嚥下障害にも効果が有ると示唆されている。(大脳辺縁系、前頭葉機能の活性化作用) ・抑肝散(よくかんさん) 漢方薬も神経症や不眠症に有効性が有ると示唆されている。 (セロトニン神経系のバランスを回復、グルタミン酸神経系の過活動を防止)。 腹直筋の緊張、痙攣、情緒不安、不眠、自律神経失調症、血の道症、進行したアルツハイマー型認知症で起こる妄想や、徘徊(はいかい)、暴力などの抑制にも効能がある。 認知機能を低下させやすい薬剤 ・抗パーキンソン病薬、・抗てんかん薬、・循環器病薬(降圧薬、抗不整脈薬、利尿薬、ジギタリス) ・鎮痛薬(オピオイド、NSAIDs)、・副腎皮質ステロイド、・抗菌薬、・抗ウイルス薬、・抗腫傷薬、 ・泌尿器病薬(過活動膀胱治療薬)、・消化器病薬(H2受容体拮抗薬、抗コリン薬)、・抗アレルギー薬 (抗ヒスタミン薬) 治療薬に注意 認知症の一般的な薬にドネぺジル(商品名:アリセプト)があげられますが適切に使えば効果的な良薬ですが、アルツハイマー型認知症以外の認知症に使うと、逆に症状を悪化させる危険性が大きいと指摘する専門医も います。 (米国食品医薬品局(FDA)は、アリセプトを脳血管性認知症への効能追加を承認していません)悪化させる 症状としては、怒りっぽい症状、暴言、暴力が出現する事がある。 レヴィ小体型で、手足の関節がスムーズに動かない「筋固縮」のある患者に、アリセプトだけを処方すると歩行 障害、寝たきり、嚥下障害につながる可能性が大きいと指摘されています。また、幻覚や妄想などの精神症状が 悪化したと指摘する専門医もいます。 参考文献:認知症疾患治療ガイドライン2010、コウノメソッドの抜粋、及び改編。 |
「アルツハイマー病」新たな知見 「アルツハイマー病」新たな知見アルツハイマー病認知症の内訳は、アルツハイマー病 68%、脳血管性認知症 20%、レヴィ小体認知症 4%(厚生労働省 研究班発表)と最も多いタイプの認知症です。 アルツハイマー病の主原因は、脳の海馬の萎縮から発症すると示唆されています。やがて大脳皮質の萎縮が進む病で、記憶障害、論理的な思考に影響を及ぼします。萎縮に対しての病因は、神経細胞の変性により起こります。 変性の原因は、神経細胞が分泌したアミロイドβ蛋白質が貯蓄(固まり)神経細胞のシナプスを破壊して(アミロイドβ蛋白質の固まりはシナプスにとって毒性を有する)、その後、神経細胞の中にタウ蛋白質が変性し沈着(神経原線維変化)により神経細胞が変性を行い海馬の萎縮が始まり発症すると報告されて、アミロイドβ蛋白質の蓄積は、発症前25年前、タウ蛋白質の沈着は15年前、海馬の萎縮は、5年前から始まり発症すると米国ワシントン大学をリーダーとするDIAN研究チームが示唆しています。 進行を遅らせるための薬 ・シロスタゾール薬: 脳梗塞を防ぐシロスタゾールが、アルツハイマー病の進行を80%遅らせる事(抑制)が判明。国立循環器センターによる研究でアミロイドβの沈着が減少したことを確認。アミロイドβは、神経細胞が働くと発生して老廃物で普通は血液に排出されますが血管の壁の中に溜り血管の機能を失い神経細胞に栄養素が供給されず神経細胞が死に至ります。この事により海馬、脳の萎縮がおこりアルツハイマー病を発症、悪化させる。シロスタゾールには血管の筋肉に刺激をあたえ動かす事により溜まったアミロイドβを排出してくれると考えられています。 ・インスリン薬: インスリンは糖尿病の薬で良く知られています。(アルツハイマー病は脳の糖尿病)脳内のインスリンの働きが悪くなり細胞が糖を取り込めなくなりエネルギー不足となり神経細胞が死ぬとの考えで、アメリカのワシントン大学(セントルイス)で脳の糖尿病と考え研究が進んでいます。また、アメリカのウエイクフォレスト大学(ウインストンセラーム)では、嗅覚からインシュリンを取り込むことにより改善させる治療が進められ、インスリンの投与した患者ではアルツハイマー病の進行を抑えられたと示唆。 インスリンの投与経路 ・嗅粘膜 → 前嗅神経核 → 海馬 → 大脳皮質へ。 (脳血液関門を通過できる分子量500以下のため嗅覚からより投与)) 参考: ・認知症800万人の時代「認知症をくい止めろ」( NHKスペシャル、2014年7月20日より ) アルツハイマー型認知症では大脳皮質、海馬の萎縮、および側脳室の拡大が見られるようになる。 |
認知症の予防 認知症の予防(栄養摂取・軽運動・睡眠)発症リスクを上げる要素高血圧・糖尿病・運動不足で歩幅の狭い人が発症リスクが高いと言われています。 高血圧と糖尿病は約2倍、運動不足で歩数が狭い人は約3.5倍と言われています。 運動不足によりリスクが上がるのかは、筋肉の刺激が少ないため脳内の血流が少なく成るためと考えられ、生活習慣が発症のリスクをあげると考えられます。 栄養素の摂取で脳の活性化して予防 認知症に良いとされる栄養素に不飽和脂肪酸(オメガ3・オメガ6)。この脂肪酸は、体内では作り出されない ことから、食事などを通して外から補う必要があります。 オメガ3は、体内でEPAとDHA代謝され、DHAは脳内に運ばれ蓄積されます(脳の海馬と網膜に大変多く含まれ ていて細胞膜が柔らかくなる)。また、脳の中ではリン脂質として存在して細胞膜の形成に重要な役割を果た しています。近年の研究では、アルツハイマー病や鬱病とも関連があるとの指摘されています。 オメガ6系は、外食や加工品に多く使われていて意識せずに摂取している事が多いです。 オメガ3系1対オメガ6系4の摂取割合が理想的なバランスですので意識して摂取。 具体的にオメガ3が含まれた食材は、シソ油、・アマニ油・エゴマ油・菜種油・サフラワ油などに含まれて います。 もう一つの必要なのが、オレイン酸(オメガ9)です。 オメガ9は、脳の血流を促す作用が有り動脈硬化の進行を予防すると示唆されています。具体的なオメガ9が 含まれた食材は、オリーブ油・パーム油・菜種油・こめ油・ココナッツオイルなどに含まれています。 摂取する注意点として過剰摂取、オメガ3の含まれた油は、加熱はNG、オメガ9は、加熱OK。 歩いて(運動)・脳の活性化で予防 ・歩幅を大きくして歩く。 ・歩きながら引き算をして歩く(例:100-7=93、93−7=86と5回以上引き算を行う) ・早足で約3分間歩き、呼吸が整ったら早足で歩くの反復。 筋肉に刺激を与え血流を良くする事と2っ同時に行動を起こす事で脳を活性化を行う。 睡眠で予防 アミロイドβ蛋白質(脳の老廃物)が脳の海馬に約15年以上蓄積され神経細胞が減少する事により脳が委縮する 事によりアルツハイマー型認知症が発生すると解ってきました。アミロイドβ蛋白質は睡眠の間に溶ける事が 知られています。また、睡眠を取る事により細胞の修復、記憶の定着を行われています。 年齢により効果的な睡眠時間は異なりますが40代で約7時間、50代以上で約6時間の睡眠を取るようにしま しょう。 余談ですが、 睡眠が少ないと血管が収縮して心拍数も早くなり血圧があがり結果的に高血圧症になるリスクが 上がり、また、うつ病、糖尿病に成りやすいとの報告もあります。 オリーブ油を使った地中海料理 |