主に、手足がふるえる(振戦)、動きが遅くなる(寡動)、筋肉が硬くなる(固縮)、体のバランスが悪くなる(姿勢反射障害)症状がみられます。
これらによって、顔の表情の乏しさ、小声、小書字、屈曲姿勢、小股・突進歩行などの運動症状が生じます。また、
非運動症状(自律神経失調症、精神障害)、自律神経系症状(便秘、排尿障害(頻尿)、起立性低血圧)睡眠障害(不眠、むずむず脚症候群、REM睡眠行動障害)、精神症状(抑うつ、不安、無関心、幻覚、妄想)、認知機能障害、感覚障害、その他(痛み・倦怠感)も出現します。
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症状名 | 出現症状 | 解説 |
あ行 | ||
嚥下障害 | ・食べ物を飲み 込めない |
嚥下障害(えんげしょうがい)は、食べ物を飲み込みにくく なる、飲み込むことが出来ない症状です。 嚥下に関わる器官は、発音・構音機能に関わっています。 食物が気管に入り嚥下性肺炎などを起こす事があるので注意。 ・嚥下障害(えんげしょうがい)、 ・構音障害(こうおんしょうがい)、 ・流涎(りゅうぜん) と共に抗パーキンソン病薬の副作用でみられることがあり, ・うつや認知障害による摂食障害。 ・上肢の運動障害。 ・舌や咀嚼(そしゃく)の運動障害。 ・咽頭(いんとう)運動の減弱。 ・上部食道括約筋の機能不全。 により起こり得えます。 錐体外路症状。( 自律神経症状) |
か行 | ||
寡動 | ・顔の表情が乏しい ・動作が緩慢になる ・声が小さくなる |
寡動(かどう)は、動作が緩慢と成り、動作の開始が遅くなる。 筋の緊張が亢進し、筋固縮が出現した状況です。 寡動が亢進すると無動となります。 まばたきが少なく成り、表情が乏しくなる。 すくみ足(歩行開始時に第一歩を踏み出せない) 小刻みに歩行、前傾姿勢、小声などの症状が出現する。 不随運動障害(パーキンソン病の4大症状の寡動) 錐体外路症状。 |
ドーパミン神経系 伝達経路: 腹側被蓋野(中脳)→ 側坐核(大脳辺縁系)のドーパミン量 低下が原因と考えられる。 |
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眼瞼 下垂症 |
・ 瞼が閉じようと する |
眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)は、瞼が勝手に閉じてきて 開けようとしても開けられない。 この症状は、加齢により起こる事が多いが、パーキンソン患者の 症状として出現することもある。 不随意運動(遅発性ジストニア)錐体外路症状。 |
筋固縮 | ・ぎこちない動き ・関節が動かない ・体のこわばり ・手足、間接の こわばり |
筋固縮(きんこしゅく)は、筋肉がこわばり固くなり、手足が スムースに動かない症状。 具体的には、肩や首の関節がうまく回せない、ひじ、手首、手足 の曲げ伸ばしができない、関節を動かす際に抵抗感を感じる。 ・鉛管様強剛(えんかんようきょうごう)、 ・歯車様強剛(はぐるまようきょうごう)の症状があります。 パーキンソン病疾患では歯車様強剛が特徴的に現れ、手・足の 関節で認めやすい。 不随意運動(パーキンソン病の4大症状の固縮)錐体外路症状。 |
構音障害 |
・ろれつが回わら ない |
構音障害(こうおんしょうがい)は、発音が正しくできない 症状。 ・器質性構音障害 ・運動障害性構音障害、 ・聴覚性構音障害 ・機能性構音障害 があります。 パーキンソン病患者に多く見られる構音障害は、筋系および 神経系の疾患に起因する運動機能障害が、構音に影響を及ぼし た結果としての症状で、中枢あるいは末梢神経の障害による 麻痺や筋緊張の亢進で起る錐体外路症状による運動障害。 |
ドーパミン神経系 伝達経路: 腹側被蓋野 → 間脳(視床・視床下部)脊髄への投射する 経路で抑制に関与が考えられます。(ドーパミン量 低下) |
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さ行 | ||
姿勢 反射障害 |
・姿勢を戻す事が 出来ない |
姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)は、パーキンソン病 が進行していくと姿勢反射障害がみられるようになります。 例えば、他の人に軽く押されただけで簡単に倒れてしまう様に なり身体のバランスが崩れやすくなっているのです。 不随意運動。(パーキンソン病の4大症状の姿勢反射障害) |
振戦 | ・振え | 振戦(しんせん)は、意思とは無関係に起る。 「規則的にふるえる」症状で手・足・頭部に顕われます。 パーキンソン病の振戦は、安静時(意識していない時)に 起り、動作する事により軽減消失する事があります。 大脳基底部の神経細胞障害でおこり大脳基底核の病変では、 これ以外に種々の姿勢異常や筋緊張の変化などが生じる事が 知られています。 不随意運動(パーキンソン病の4大症状の振戦) 錐体外路症状。 |
た行 | ||
遅発性 ジスキネジア |
・繰返し唇を すぼめる ・舌を左右に動かす ・口をもぐもぐ させる ・歯をくいしばる ・手・足が勝手に 動く ・唇の細かな震え ・顎が動く |
遅発性ジスキネジア(ちはつせいジスキネジア)は、 長期間にわたるレボドパ (L-Dopa) 投与(服薬)により ウェアリング-オフ時に起る。 運動症状の変動はレボドパ投与開始5-10年後の患者に半数以上 起こり、年数が長くなるほどジスキネジアを起こす患者の割合 は高くなる。 顔の表情をつくる筋肉や口の周辺、顎、舌、さらに手足や体 そのものが自分の意志とは無関係に周期的に動くようになる 症状。 不随意運動。(薬の副作用) |
ドーパミン経路、黒質→線条体のドーパミンD2受容体が過感 受性により起因とされています。ドーパミンの血中濃度が 上昇期に起る。 |
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遅発性 ジストニア |
・ 首が上下、左右 に傾く ・ 首・足・指がね じれる ・ 口・体を 歪ませる ・ 唇を突き出す ・ 声が出しにくい ・ 箸が持てない、 持ちにくい ・布団が重く感じる ・呼吸困難、 息苦しい |
遅発性ジストニア(ちはつせいジストニア) 長期間にわたる抗精神薬服薬によって起きる事がある。 顔の表情をつくる筋肉や口の周辺、顎、舌、さらに手足や 体そのものが自分の意志とは無関係に動き固まり、ウェアリング -オフ時に起る。 全身性ジストニアと局所性ジストニアなどに分類され、 身体の一部または全身、複数の部分の筋肉が不随意に収縮。 ・ねじれ ・硬直 ・けいれんなどが生じる運動障害。 局所性ジストニアには、手や腕、肩や腹筋の筋肉が異常に収縮、 両眼の眼輪筋(まぶたを閉じる筋肉)が不随意に収縮、首の 筋肉が異常に収縮して頭が傾いた状態、喉頭や声帯の筋肉に 発症し声を出しにくくなる発声障害など。 ジストニア症状が起る場合は、大脳基底核の神経活動が減り、 大脳基底核から出る“運動野”の活動を抑える信号”が弱わまる。 それによって、大脳の運動野から不必要な運動の指令が出され 筋肉が意図せず勝手に収縮して思い通りに動かなくなる。 不随意運動。(薬の副作用) |
ドーパミン経路、黒質→線条体のドーパミンD2受容体が 過感受性により起因とされています。 ドーパミンの血中濃度が上昇期と下降期に起る事がある。 |
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は行 | ||
歩行障害 | ・すくみ足 ・一歩が踏み出せない ・歩幅が小刻み ・止まれない |
歩行障害(ほこうしょうがい)は、背中を丸めて前かがみに なって歩く。 始めの一歩が踏み出せない すくみ足、歩幅が小刻みになり (小歩症)、急に止まったり方向転換する事ができなくなり ます。また、突進するようになる(突進現象)が出現。 不随意運動。(パーキンソン病の4大症状の寡動) |
ま行 | ||
無動 | ・顔の表情が乏しい ・寝返りが できない |
無動(むどう)とは寡動(かどう)の症状が悪化した状態で、 ほとんど動かなくなった状態を指します。 仮面様顔貌(かめんようがんぼう)、小声症が出現。 (パーキンソン病の4大症状の運動障害) 不随意運動。(パーキンソン病の4大症状の無動) 錐体外路症状。 |
ドーパミン神経系 伝達経路: 腹側被蓋野(中脳)→ 側坐核(大脳辺縁系)ドーパミン量低下。 ドーパミン量低下により自律神経の副交感神経が活性化され アセチルコリンが活性化され、横紋筋(おうもうきん)の 皮筋(表情筋)が刺激され出現されると考えられる。 |
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ら行 | ||
流涎症 | ・よだれが出る | 流涎(りゅうぜん)は、唾液の分泌過多、分泌量が多すぎるか、 唾液を口の中にためたり飲み込んだりできない場合に起ります。 パーキンソン病の流涎(りゅうぜん)は、嚥下障害 (えんげしょうがい)、構音障害と共に抗パーキンソン病薬の 副作用でみられる。 唾液の貯留と考えられ、唾液の分泌量は過剰ではないが、分泌 速度が速いために唾液の貯留をきたしやすいとする報告が あります。 唾液の産生が活性化は、アセチルコリン(神経伝達物質)の 作用が関わっており副交感神経が活性していると考えられる。 アセチルコリンは、酵素アセチルコリンエステラーゼ(AChE) の作用で、コリンと酢酸に速やかに分解、除去される。 神経ガスはこの酵素を阻害するため、アセチルコリンが除去 されず、痙攣、唾液過多、瞳孔の収縮などの症状がみられる。 自律神経症状。(薬の副作用)錐体外路症状。 |
症状名 | 出現症状 | 解説 |
あ行 | ||
アカシジア | ・むずむずする | 錐体外路症状(すいたいがいろしょうじょう)の一つ。 (幻触:げんしょく) 抗精神病薬(D2受容体拮抗作用のある)による副作用で、 神経伝達物質ノルアドネラリンのレベル増加により起こると されている。 四肢にむずむずするような異常知覚を感じて、 そわそわしてじっとしていられない状態。 下肢を中心に不快な異常感覚が、特に夕方から深夜にかけて 出現する疾患で、かゆくなったり、痛くなったり、あるいは 虫が這うような不快感を感じ、脚を動かしたいという強い欲求 が起こるために不眠の原因となります。 「むずむずする」・「じっとしていられない」・「痒い」 だけでなく、「ピンでなぞられている様な」・ 「針で刺すような」・「火照るような」・ 「蟻やミミズなどの虫が這っている様な」などの異様な感覚 が現われ、時には「振戦」を感じる場合もある。 「むずむず脚症候群」と症状は類似しているが、原因は異なる。 むずむず脚症症候群の原因は解明されていないが、 ・神経伝達物質であるドーパミンの機能低下、 ・中枢神経における鉄分の不足による代謝の異常、 ・脊髄や末梢神経の異常、 ・遺伝的な要素、 などが推測されており、脳内での鉄分の欠乏や、ドーパミン 合成異常がかかわっているという仮説が有力。 ドーパミン(神経伝達物質)は鉄分が不足すると分泌量が減り、 脳への情報が誤って伝えられる為、身体の感覚に異常を感じる と推測されている。 |
ドーパミン神経系 伝達経路−間脳路: 腹側被蓋野(大脳辺縁系) → 間脳(視床・視床下部)、 脊髄への投射する経路にてドーパミン量の低下に伴い ノルアドネラリンの増加と推測される。 |
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アパシー | ・無気力・無関心 | 無気力、無関心の状態。 アパシーになった人は仕事や勉強など本来すべきことには やる気が出ないが、交遊関係や趣味に関しては意欲を 発揮するという点で、生活全般に対する無気力・無関心を示す うつ病とは異なる。 また、うつ病はしばしば睡眠障害を伴うのに対し、アパシーの 場合、昼夜逆転生活になっても睡眠はとることができる。 精神症状。 |
うつ病 | ・やる気がでない ・物事を悲観的に 考える |
抑うつ気分(気持ちが沈む、自信を失う等)、精神運動制止 (注意が集中できない、簡単な決断ができない等)、 不安焦燥感 (落ち着きがなくなる、焦り等)、 自律神経症状 (睡眠困難、食欲不振等)がある。 朝が不調で、夕方になると少し楽になるという日内変動もある。 うつ病は、単一の疾患ではなく症候群であり、様々な要因が あると考えられている。原因は不明です。 精神症状。 |
神経損傷仮説:幼少期の心的外傷体験を持つことによりうつ病 発症の基礎と成っていると言う仮説。過剰なストレスにより 多量のコルチゾールが分泌され海馬を萎縮をさせる事により 心的外傷後ストレス障害(PTSD)、うつ病になる仮説。 モノアミン仮説:内因子うつ病の場合、セロトニンや ノルアドレナリンなどの脳内の 神経伝達物質の働きが悪くなっていると 推測されている。 |
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か行 | ||
下肢浮腫 | ・足のむくみ | 下肢浮腫(かしふしゅ)とは、体の下半身(下肢)に主にむくみ (浮腫)が見られる事をいいます。浮腫とは、何らかが原因で 手足などの末端に水分がたまった状態のことです。 人間は立っていることが多いために、水分が下肢へ移動し、 むくみが起こりやすくなります。 他の原因として、新陳代謝の悪化による血液循環の滞り、 体温の調節力が低下による発汗障害、薬物投与の副作用で 起こる事もあります。 自律神経系の障害、心臓の弁が機能低下の場合もあるので注意。 |
感覚障害 | ・胃痛 ・お腹が痛い (お腹が張る) ・息苦しい ・下半身が燃える様に 熱い |
感覚障害(かんかくしょうがい)は、 下肢が熱い、しびれや痛み。胃痛、胃が気持ち悪いなどで、 主たる原因となる疾患が無い場合、統合失調症の陰性症状。 (体感幻覚) パーキンソン病患者での感覚障害(かんかくしょうがい)は、 主たる疾患がない場合、中枢性(脳、せき髄)に起っており、 消炎鎮痛剤よりも神経痛に対する治療薬で対症。 自律神経障害。(統合失調症の陰性症状) |
ドーパミン神経伝達経路: 大脳皮質(島皮質・前帯状皮質)ー 線条体−視床下核 |
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起立性 低血圧 |
・立ちくらみ ・周囲が紫色に見える |
起立性低血圧症(きりつせいていけつあつしょう)は、 パーキンソン病患者に時々見られる自律神経症状の一つです。 長期レボドパの投与(服用)にて起る副作用。 弾性ストッキング着用も効果がある。 自律神経障害。(薬の副作用) |
傾眠 | ・うとうとする | 傾眠(けいみん)は、軽い刺激で目覚める覚醒状態。 パーキンソン病患者で、突発性睡眠が伴う場合、 ドーパミン アゴニスト、ゾ二サミドの投与量の調整。 自律神経障害。(意識障害、薬の副作用) |
・幻聴 ・幻視 |
・存在しないものが 見えるたり 聞こえたり |
幻聴(げんちょう):実在しない音や声がはっきりと聞こえる。 聞こえるものは要素的なものから人の話し声、数人の会話と 複雑なものまで程度は様々である。 幻視(げんし):実在しないものがみえるものである。 単純な要素的なものから複雑で具体的なものまで程度は様々で ある。 多くの場合は意識混濁という意識障害時に起こることが多い。 統合失調症では幻聴が、レヴィ小体症では幻視が、アルコール 依存症の離脱症状では小動物幻視(小さい虫などが見える) 事が多いが必ずしも全てあてはまるわけではない。 統合失調症の陽性症状。 |
ドーパミン神経系 伝達経路の大脳ー側坐核路(報酬系): 腹側被蓋野(大脳辺縁系)→ 側坐核(腹側線条体)ドーパミン 受容体が変調した状態、ドーパミン量の上昇と推測できる。 |
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さ行 | ||
衝動 制御障害 |
・病的賭博 ・性欲亢進 ・買いあさり ・むちゃ食い ・Punding |
ドーパミン補充療法や前頭葉、扁桃体などの機能障害と関連して 病的賭博、性欲亢進、買いあさり、むちゃ食い、L-Dopa渇望 などの衝動制御障害を生ずる事があります。 パーキンソン病運動症状発現からの平均潜時は約5〜9年で、 行動障害の発現頻度は6.1%。 行動障害の背景には、脳内報酬系を形成する腹側線条体回路の 過活動や側坐核に分布するドーパミンD3受容体の過剰刺激が 重視される。 Pundingの背景には背側線条体回路の感受性亢進が考えられて いる。 ・病的賭博:ドーパミンアゴニストの減量、変更、中止。 ・性欲亢進:ドーパミン補充薬の減量、変更、中止。 ・買いあさり:ドーパミン補充薬の減量、変更、中止。 ・むちゃ食い:ドーパミン補充薬の減量、変更、中止。 ・Punding(反復常同行動):減薬。 (Punding症状とは、機械の分解、衣類や家具の整理、掃除など 無目的な動作を反復する) |
消化管 運動障害 |
・便秘 ・嘔吐 |
消化管運動障害(しょうかかんうんどうしょうがい)。 パーキンソン病患者に見られる消化管運動障害は、嘔吐、便秘で、 早期からアウエルバッハ神経叢にレヴィ小体が出現する事が 報告されている。 薬剤吸収のの阻害因子となるので便秘を改善は大切。 自律神経障害。 |
自律神経 症状 |
・息苦しい | 自律神経症状(じりつしんけいしょうじょう)。 自律神経の中枢は視床下部で、交感神経と副交感神経のバランス が崩れにより出現していると考えられる。 Off時に しばしば息苦しいと訴える事がある。 ドーパミン アゴニスト麦角系薬を長期投与(服用)の時には、 薬剤の副作用による、間質性肺炎、心臓弁膜症を起こす疑いが あるので、主治医と相談の上、胸部X線、CT検査を推奨。 自律神経失調症、肺炎(嚥下性)の可能性も考慮。 |
睡眠障害 | ・寝ていてもすぐ 起きる ・寝ていて悲鳴を あげる |
睡眠障害(すいみんしょうがい)の原因は、自律神経系、中枢 コリン系、セロトニン系、ノルアドネラリン系、ニューロン の変性、脱落などにより起り睡眠、覚醒機能障害、入眠障害、 夜間頻回覚醒、早朝覚醒、REM(レム)睡眠異常行動症、 REM睡眠時間が減少、運動症状悪化(夜間の睡眠障害により) などの症状があります。 覚醒、睡眠障害。 |
せん妄 | ・幻視 ・錯覚 |
せん妄(せんもう)は、意識混濁に加えて幻覚や錯覚が見られる 様な状態。健康な人でも寝ている人を強引に起こすと同じ症状 を起こす。 脳機能疾患、身体疾患、薬物などが原因となる。 短期間のうちに現れる軽度から中等度の意識障害に、特徴的な 幻覚、錯覚、不安、精神運動興奮、失見当識などを伴う。 発症は急激で日内変動が目立ち、夜間に悪化することが多い (夜間せん妄)。 原因は、中枢神経系に影響を与えて急性の意識障害を生じさせる 器質的要因であり、中枢神経疾患(脳血管障害、脳炎、脳腫瘍、 癌性髄膜炎、頭部外傷など)。 せん妄を起こしやすい薬物としては、向精神薬(抗不安薬、 抗けいれん薬、抗うつ薬、睡眠導入薬)、抗パーキンソン病薬、 抗コリン薬、鎮痛薬、循環器薬(抗不整脈薬、ジギタリス製剤、 降圧薬)、消化器薬(鎮痙薬、H2ブロッカー)、制吐薬、 抗ヒスタミン薬、ステロイドなどがある。 |
ま行 | ||
妄想 | ・非現実的な空想 | 統合失調症、躁うつ病、うつ病、痴呆、せん妄、てんかん、急性 薬物中毒、覚醒剤乱用などに伴って生じることがある精神疾患。 根拠が薄弱にもかかわらず確信が異常に強固で、経験、検証、 説得によって訂正不能。また、妄想である事を認識していない。 大脳辺縁系(側坐核)のドーパミン神経系が過活動となり、 大脳連合野からの神経伝達が変調を起こし妄想、幻覚の発生に 関与していると示唆されている。 |
ら行 | ||
REM睡眠 異常行動 |
・寝言 ・睡眠時の異常行動 |
REM(レム)睡眠異常行動症。 レム睡眠時には脳は覚醒時に近い活動をしており通常であれば 夢で見たことを行動に起こすことはないが、レム睡眠行動障害は 何らかの原因で抑制が障害されるために夢で見たことをそのまま 行動に移してしまう。 原因は、脳幹部の脳腫瘍、パーキンソン病、オリーブ橋小脳 萎縮症、レヴィ小体病などいくつかの原因が考えられている が、約半数は基礎疾患を持たず、原因不明。 また、アセチルコリン神経が活動して、 橋 → 視床 → 外側膝状体 → 後頭葉の一次視覚野で起こるとも 示唆されている。(セロトニン神経、ノルアドネラリン神経の 活動が消失するとアドレナリン神経が活動) |