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難病 パーキンソン病 家内と共に生きる。

パーキンソン病 介護・症状日誌

Fushimi-ku Kyoto city

パーキンソン病・副作用と症状PD Side Effct



副作用と症状

施設写真


パーキンソン病 ( PD )を発症すると種々症状が出現します。処方されたPD薬には、それぞれ特徴があり、症状や年齢、活動度に応じ、薬の種類、服薬量、組み合わせを考えて処方されますが副作用で悩まされることが多々あります。
副作用が脳のどの部分で起こっているのか、どの様な神経伝達物質、薬が作用しているのかを理解できれば、
副作用を怖がり過ぎる事は無くなります。



Page Contents (詳細は下部をクリック)

      

     






依存症

依存症(病的賭博)

PD治療薬ドーパミンアゴニストが原因!!

病的賭博を呈したパーキンソン病(PD)患者11名に関する検討が2005年報告された。
(ド−パミンアゴニストを内服していたPD患者11名、内3名はドーパミンアゴニストのみによる治療)。
11名中7名では、ド−パミンアゴニスト服薬を開始、もしくは増量後3ヶ月以内にギャンブル依存・病的賭博症状が出現していた。ド−パミンアゴニストを中止したところ、ギャンブル依存・病的賭博は消失した。
ド−パミンアゴニストの種類に関してはプラミペキソ−ル(商品名:ビ−シフロール)が11名中9名を占め
(内服量は4.5mgが6名と最多)。
プラミペキソ−ルはドーパミン受容体D3への刺激を介して病的賭博を惹起している可能性が疑われる。
ド−パミンアゴニストが依存症の原因になりうることを認識できるが、プラミペキソ−ルを服薬しているPD患者すべてに出現するとは限らない。また、PD患者で、しばしば幻覚・妄想が出現する事が知られている


神経伝達物質に関する研究

ギャンブル依存者について測定すると、脳内ではドーパミンとノルアドレナリンが活発に生成・消費されていることが推測できる。一方、神経伝達物質セロトニンの活性度を示す血小板のモノアミン酸化酵素が低下し、セロトニン受容体の感受性の指標とされるクロミプラミンを静脈注射した後のプロラクチン反応が鈍いというデータも得られている。これらを総合すると、ギャンブル依存者の脳内ではドーパミンとノルアドレナリンの働きが強まる一方、セロトニンの働きが低下すると推測できる。
しかし、ドーパミンの分泌を抑制すればギャンブル依存症の症状を抑えることができるかといえば、そうとは限らない。ドーパミンの減少はPD症状の悪化をもたらす。

治 療

・重篤の場合はドーパミンアゴニストの減量調整、中止(運動症状の悪化を考慮に入れ減量)。
 



幻覚_妄想

幻覚・妄想( 聞こえたり、見えたり、感じたり )

 幻覚・妄想

PD患者で、しばしば幻覚・妄想が出現する事があります。
原因はPD薬によるものと推測できますが、認知症によるも考えられます。
幻覚の種類は、
  ・幻視:人・虫、床が水浸しなどが見える。
  ・幻聴:音・声、話し声が聞こえる。
  ・幻嗅:臭いを感じる。
  ・幻味:味を感じる。
  ・幻触(体感幻覚):触れた感覚、熱などを感じる。
統合失調症では、声、話し声から悪口、自分の噂などの幻聴から妄想が結びつくことがありますが、幻視が認められることは極めて稀である。
幻視、幻聴が出現する場合は、意識障害で意識が混沌とした状況で起こりやすく、神経変性疾患、中毒性疾患で良くみられます。


PD患者での幻覚・妄想

神経変性が進行期もしくは、PD薬(L-dopa、ドーパミンアゴニスト)の血中濃度が高い場合に起る事が良く見られます。また、
ドーパミンアゴニストの副作用で、意識が混沌とし傾眠状態から覚醒した直後に妄想(夢と現実の錯誤)に起る事がしばしばあります。


認知症の幻覚・妄想

レヴィ小体認知症では、幻視(見知らぬ人が家にいる、子供が家で遊んでいる、窓から見知らぬ人に見られているなど)が現れ、話しかける事もあります。幻聴は比較的に起りません。
認知症でも被害妄想が起る事が知られています。


他で起こる要因

アルコール中毒、てんかん、統合失調症、視覚障害(シャルルボネ症候群)、遭難中に起る幻視、妄想が考えられていますが、大脳と脳幹の連絡の障害でも起る事が知られています。


出現メカニズム

・脳内ドーパミン量の上昇 (腹側被蓋野→前頭葉、辺縁系) 幻視、幻聴、体感幻覚。
 (統合失調症の陽性症状)


関係脳部位・神経系

腹側被蓋野から視床・頭頂葉・前頭前野・側頭葉へドーパミン投射上昇により、統合失調症の陽性症状


治 療

・重篤の場合はドーパミンアゴニストの減量調整、その後、L-Dopaの減量。
 (運動症状の悪化を考慮に入れ減量)



物忘れ

物忘れ・認知症・健忘症

 PD患者での記憶の脱落(健忘症)

PD患者では、しばしば記憶の脱落が起りえる。薬を飲んだか否か、食事をしたか否か等を忘れる認知機能障害が起りえます。認知症の検査を行っても認知症とは診断されない。
認知症とPD患者の記憶の脱落の違いは、手がかり、ヒントを出せば思い出す(改善)。
認知症が進んでいると思い出せなく、行ったこと事態い忘れてしまう。


推測される原因

PD患者の場合、神経伝達物質のドーパミン量が減少、アセチルコリンも減少する事があると示唆されているアセチルコリンは、記憶も司る伝達物質で、不足すると情緒不安定、不安感やイライラ、被害妄想、鬱状態が現れ、感情の起伏が激しい、あせり等(自律神経失調症の精神症状)や幻覚、体幹幻覚(統合失調症の陽性症状)を悪化させ一次記憶に影響を及ぼす事があると考えられます。また、
PD薬(抗コリン薬)の作用(ムスカリン受容体の遮断、アセチルコリン作用の低減)により記憶に影響を及ぼす可能性があると推測できる。

幻覚は、L-Dopa(ドーパミン補充薬)、ドーパミンアゴニストの作用で、脳内のドーパミン量が多くなり幻覚(幻視、幻聴)が現れる事かあります。


出現メカニズム
・アセチルコリンが減少 → 情緒不安定、不安感が出現(自律神経失調症の精神症状)、REM睡眠行動異常。
・脳内ドーパミン量の上昇 → 幻視、幻覚、幻聴、体幹異常(統合失調症の陽性症状)。


関係脳部位・神経系

前脳基底部のマイネルト基底核・ブローカ対角帯・内側中隔核でアセチルコリン減少、健忘症状
延髄・迷走神経背側運動核でアセチルコリン減少によりアドレナリン、ノルアドネラリンが相対的に増え交感神経優位、自律神経失調症
視床・頭頂葉・前頭前野・側頭葉でドーパミン上昇により、統合失調症の陽性症状
海馬・脳幹と考えられる。基礎疾患は持たず原因不明、REM睡眠行動異常


治 療

幻覚・妄想が客観視できず、日常生活に悪影響を及ぼすようになった時点で治療開始。
・L-Dopa以外の抗パーキンソン病薬の減量、中止。改善しない場合は、非定型抗精神病薬を投与。
 クエチアピンは抗幻覚・妄想作用が期待でき、運動症状を悪化させにくい。


認知症とは?

物忘れにみられるような記憶の障害、判断、計算、理解、学習、思考、言語などを含む脳機能に障害。アルツハイマー型認知症、レヴィ小体認知症、脳血管性認知症が良く知られています。認知症の患者は推定460万人と言われ、世界保健機関(WHO)は、認知症患者は、2050年に約1億人に増えると予測されています
 (過半数がアジアと予測)。
認知症の割合は、アルツハイマー型認知症が約50%、レヴィ小体認知症が約15%、脳血管性認知症と続きます。


認知症の原因、症状

アルツハイマー型認知症:脳神経細胞の脱落(破壊)で脳が委縮し認知症を発症。
初期の症状は、物忘れが多くなる、怒りっぽくなる、同じことを繰り返し何度も言う、食事をした事を
忘れてしまう。
中期の症状は、外出して帰ろうとしても自宅の場所が解らない。
後期の症状は、被害妄想、運動機能、会話能力が失われる。

レヴィ小体認知症:α-シヌクレイン蛋白質の凝集であるレヴィ小体が脳幹、大脳全体に溜まる事により神経
細胞が破壊され発症。特徴的な症状は幻覚。
幻視では、ハッキリとした幻視で、例えると家の中に知らない人の姿が見える、亡くなった人が見える、
窓から人が覗いている様に感じ見られている、虫が見える、ゴキブリが見る。幻聴、例えると深夜に人の声、音が聞こえる。また、はっきりとした寝言、睡眠行動異常。

脳血管性認知症:脳梗塞により脳を圧迫する事により起こる。症状は怒りっぽく成ったり、うつ症状が出たり
突然おこり症状が進んだり緩やかになったりする。特徴は、感情をコントロールできない。



異常な感覚

異常な感覚( 身体の痛み、変な体感がする )

 感覚障害とは(体感幻覚)

知覚の異常や感覚の鈍麻など感覚神経の異常反応を生じる障害。触覚、痛覚、温度覚、振動覚、位置覚など感覚の鈍化、痺れや痛みなどが主な症状。


PDで起こる感覚障害・痛み

PDで見られる感覚障害・痛みは、お腹が張る、胃が痛い、下肢が熱い、体がもぞもぞするなど患者により異なる。
主たる原因が無い場合は、非運動障害でOFF時、Wearing-OFFに連動する。原因は、閾値が低下しており(過敏になっている)L-dopaの内服で閾値を上げる。
統合失調症の陰性症状。


出現メカニズム

ドーパミン量低下により伝達経路の島皮質・前帯状皮質(ぜんたいじょうひしつ)→ 線条体が関与していると推測されている。


関係脳部位・神経系

島皮質・前帯状皮質(帯状回)・線条体・視床下核・間脳・脊髄。
他に橋の外側にある三叉神経の
三叉神経 主知覚核:識別知覚(触圧覚)、
三叉神経 脊髄路核:主情知覚(温痛覚)、
三叉神経 中脳路核:咀嚼筋の筋紡錘の受容器および圧覚に影響していると考えられる。


治 療

・OFF時の軽減するためドーパミン補充薬の内服。
・炎症鎮痛薬よりも神経痛薬を内服。



滑舌_ろれるが悪い

滑舌・ろれつが悪い

 構音障害とは

 構音障害(こうおんしょうがい)は、発音が正しくできない症状で嚥下障害の1つ。
・器質性構音障害 ・運動障害性構音障害 ・聴覚性構音障害 ・機能性構音障害 があります。


PDで起こる構音障害

パーキンソン病患者に多く見られる構音障害は、中枢あるいは末梢神経の障害による麻痺や筋緊張の亢進で
起る錐体外路症状による運動障害で、
 @呼吸筋により拘束性呼吸機能障害、
 A声帯の内転障害による運動低下性構音障害
と示唆されています。


出現メカニズム

ドーパミン量低下により伝達経路の腹側被蓋野 → 間脳(視床・視床下部)→ 橋 → 脊髄への投射する経路で、三叉神経 脊髄路核に対する抑制に関与が考えられます。

関係脳部位・神経系

腹側被蓋野視床・視床下部・橋・脊髄、三叉神経 脊髄路。


治 療

・PD薬での治療(ドーパミン補充薬)
・言語療法・発声訓練(リハビリテーション)



よだれが出る

よだれが出る

 
流涎症とは

流涎(りゅうぜん)は、唾液の分泌過多、分泌量が多すぎるか、唾液を口の中にためたり飲み込んだりできない場合に起り、自律神経症状・錐体外路症状。(嚥下障害の1つ)


PDで起こる流涎

パーキンソン病の流涎(りゅうぜん)は、嚥下障害(えんげしょうがい)、構音障害と共に抗パーキンソン病薬の副作用でみられ、筋系および神経系の疾患に起因する運動機能障害が影響を及ぼした結果としての症状で、日内変動のOFF時に起る事が多い。
中枢あるいは末梢神経の障害による麻痺や筋緊張の亢進で起る運動障害。
唾液の貯留と考えられ、唾液の分泌量は過剰ではないが、分泌速度が速いために唾液の貯留をきたしやすい、
頚部前屈(首から頭が前に傾く)も一因との報告がります。


出現メカニズム

唾液の産生が活性化は、アセチルコリン(神経伝達物質)の作用が関わっており副交感神経が活性していると考えられる。
アセチルコリンは、酵素アセチルコリンエステラーゼ(AChE)の作用で、コリンと酢酸に速やかに分解、除去されますが、PD薬はこの酵素を阻害するため、アセチルコリンが除去されず、痙攣、唾液過多、瞳孔の収縮などの症状がみられる。


関係脳部位・神経系

脳幹・延髄・脊髄上部・舌咽神経(第9脳神経)・唾液腺(耳下腺の副交感神経線維)


治 療

・アトロピン舌下錠(唾液量を減らす薬剤)
・イプラトロピウム(抗コリン作用のある薬剤)
・ボツリヌス毒素の注射(唾液腺の耳下腺)治療。



ねむけ_突発的睡眠

ねむけ( 突然寝てします、眠くてしかたない ) 

傾眠状態とは

意識障害の1つ。周囲からの刺激があれば覚醒するがすぐ意識が混濁する状態で、刺激が無ければ睡眠状態となる。


PDで起こる傾眠状態

日中過眠、覚醒障害は、PD薬の効果が現れている時に起る事が多く、薬剤では、L-Dopa、ドーパミンアゴニスト、催眠鎮静薬、抗不安薬、抗精神病薬、抗うつ薬などが原因になる。
日中過眠誘発率は、カベルコリン17.5%、ぺルゴリド7.6%、プラミペキソール27.3%、ロピニロール33.9%で、非麦角系ドーパミンアゴニストで頻度が高い。

出現メカニズム
L-Dopa投与による治療を行っている患者では、線条体-淡蒼球の神経細胞でアデノシンA2A受容体の増加が見られジスキネジアの出現に関連していると示唆されている事からアデノシンが亢進。
若しくは、視床下部-外側野の神経細胞に限局、大脳辺縁系、摂食行動の制御系、覚醒制御システムとの相互の関係が明らかになっている事からオレキシンの機能低下による過眠症と考えられる。
オレキシン系は睡眠・覚醒調節機構の重要な要素、情動やエネルギーバランスに応じ、睡眠・覚醒や報酬系そして摂食行動を適切に制御する統合的な機能を担っている。
機能亢進は不眠症など交感神経系の興奮、摂食行動の亢進に結び付くとされる。


治 療

PD患者で、突発性睡眠が伴う場合、ドーパミン アゴニスト、ゾ二サミドの投与量の調整。
日中覚醒度を高めるために、デイサービス、リハビリテーションの導入を検討。 



悪性症候群

悪性症候群

悪性症候群の症状

 ・発熱(微熱で始まることもあるが、大抵は38-40℃に至る高熱)
 ・流涎(よだれを流す)  ・言語障害    ・嚥下障害
 ・頻脈(脈が速くなる)  ・無動(身動きしない、しゃべらない)
 ・意識障害        ・筋硬直     ・振戦
 ・脱水症状        ・栄養障害    ・呼吸障害
 ・循環障害
 腎不全等を併発すると死に至る事もある。


発症現因・機序

向精神薬の中止(遮断)により出現と考えられていて広い範囲の薬剤作用が原因で、
 ・ドーパミン受容体遮断仮説
 ・ドーパミン・セロトニン不均衡説
 ・カテコラミン異常説 (ドーパミン・ノルアドレナリン不均衡説)
 ・骨格筋異常説、
カテコラミン異常説・骨格筋異常説では、交感神経細胞中のカルシウム制御タンパク質の欠陥が発症を促すと考えられ、この疾患を悪性高熱症としてとらえられています。
最も有力な説によると、ドーパミンD2受容体の遮断が関係していると考えられている。

特にパーキンソン病などの患者の場合に、L-dopa(レボトバ)、ド−パミン アゴニストなどのドーパミン作動薬を投与している状態から、中止、投与量を減少させた際にも発生する。 加えて、神経遮断薬としては用いられない薬剤でも、抗ドーパミン作用を有するものであれば誘発することがある。また、神経遮断薬の用量の急増、長時間作用型神経遮断薬の投与は、発症リスクを増大させることが知られている


診断基準

錐体外路障害:
 ・鉛管様筋強剛、・歯車現象、・流涎、・眼球上転、・後屈性斜頸、・反弓緊張、・咬痙、
 ・嚥下障害、・舞踏病様運動、・ジスキネジア、・加速歩行、・屈曲進展姿勢、
の内2つ以上認められれば錐体外路障害ありとする。

自律神経機能不全:
 ・血圧上昇(通常より拡張期血圧が20mHg以上上昇)、・頻脈(通常より脈拍が30回/分以上増加)、
 ・頻呼吸(25回/分以上)、・発汗過多、・尿失禁、の内2つ以上認められれば自律神経機能障害がありとする。

その他:意識障害、白血球増多、血清CK値上昇。


治 療

・原因薬の投与中止。
・抗パーキンソン病薬中止による発症では中止前の投与量で再投与する。
・ドーパミン作動薬であるブロモクリプチンを2.5〜10mg/dayで1日3回の経口投与する。
 筋固縮完全消失後3〜5日投与する。
・水分補給、栄養補給。



自律神経失調症

自律神経失調症 (身体、精神に変調を来たす)

自律神経失調症(じりつしんけいしっちょうしょう)は、交感神経と副交感神経の自律神経のバランスが崩れた場合に起こる症状。

身体症状
めまい、冷や汗が出る、体の一部が震える、脈拍が速くなる、血圧が激しく上下する、立ち眩みする、耳鳴、
吐き気、頭痛、微熱、過呼吸、倦怠感、不眠症、味覚障害、便秘、下痢、手足の痺れ。

精神症状
人間不信、情緒不安定、不安感やイライラ、被害妄想、鬱状態が現れ、感情の起伏が激しい、あせり等症状は実に多岐に亘ります。

自律神経は、自分の意思とは無関係に働く血管、リンパ腺、内臓など組織に分布する神経系のことで、呼吸や代謝、消化、循環など自分の意思とは無関係に生命活動の維持やその調節を行い、絶えず活動する神経。
交感神経は、消化などの生命活動を活発にする働きをし、副交感神経は交感神経とは全く逆の働きをする。
過労、ストレスなどで脳を休める時間が減ると自律神経が興奮し、結果的に交感神経と副交感神経の優位入れ替わりのバランスが崩れ、自律神経失調症となるとされている。

パーキンソン病での自律神経症状:迷走神経背側運動核の変性(Lewy小体の出現により)
 1)Lewy小体の出現は、延髄(とくに迷走神経背側運動核)に早期から認められる。
  (迷走神経背側運動核は、副交感神経の節前ニューロンが存在する部位である)
 2)その後、「中脳黒質」や「大脳皮質」へと病理変化が(上行性に)進行する。

交感神経
神経伝達物質としてアドレナリン、ノルアドレナリンを放出。アドレナリン受容体に作用。
体を活発に活動させる時に働く神経が交感神経。交感神経は「闘争と逃走の神経」と呼ばれています。闘争として相手と戦う時、体は緊張して心臓の鼓動は早くなり、血圧が上がります。相手をよく見るために瞳孔は散大し、呼吸は激しくなります。同じように、自分を狙う相手から本気で逃げる時も体は興奮した状態となります。この様な作用は交感神経が働いています。

副交感神経
神経伝達物質としてアセチルコリンを放出、コリン作用性の神経で、ムスカリン受容体に作用。
交感神経は運動時などの興奮した時に活発となるのに対して、副交感神経は体がゆったりとしている時に強く働きます。食事をしている時、胃酸がたくさん分泌されて腸の運動は活発になります。副交感神経が興奮することにより、食物の消化に関わる機能が活発になります。
また、副交感神経は交感神経と逆の働きをするため、心臓の機能は抑制されます。

自律神経の中枢は視床下部で、この場所は情緒、不安や怒り等の中枢とされる辺縁系と相互連絡していることから、こころの問題も関わってきます。



錐体外路症

錐体外路症(不随意運動機能に影響)

錐体外路症状(すいたいがいろしょうじょう) extrapyramidal symptomは、大脳基底核が主として関与。
筋緊張亢進ー運動減退症候群(hypertonic-hypokinetic syndrome)、筋緊張低下ー運動亢進症候群
(hypotonic-hyperkinetic syndrome)の2つに大別される。


筋緊張亢進ー運動減退症候群

症状:筋緊張は亢進し、寡動、固縮が見られる。
関係脳部位淡蒼球、黒質の障害
例)パーキンソン症候群、ウィルソン病の末期、マンガン中毒、ハレルホレデン・シュパッツ病がある。


筋緊張低下ー運動亢進症候群

症状:筋緊張は低下し、多動状態が見られる。
関係脳部位視床、線条体(尾状核、被殻)の障害。
例)舞踏病、アテトーゼ、バリスムス、ミオクローヌス、ジスキネジア等がある。
疾患としては、リウマチ性舞踏病(小舞踏病)、ハンチントン舞踏病、脳性麻痺、脳血管障害等がある。
また、クロルプロマジン、ハロペリドール、アモキサピンといった抗精神病薬等の副作用としてみられる。


薬による錐体外路症状

ドーパミン受容体D2が過度に遮断されることで生じる。
パーキンソン様症状や遅発性ジスキネジア、遅発性ジストニア症状が出現。

大脳皮質 ⇔ 大脳基底核の伝達ルートに関与していると考えられている。小脳も関与していることが分かっており、それらも含めて他の神経機構の関与についてもまだ不明な点が多い。


診断基準

 ・鉛管様筋強剛、・歯車現象、・流涎、・眼球上転、・後屈性斜頸、・反弓緊張、・咬痙、
 ・嚥下障害、・構音障害、・舞踏病様運動、・ジスキネジア、・加速歩行、・屈曲進展姿勢、・感覚障害、
 ・幻覚、アカシジア。
の内2つ以上認められれば錐体外路障害ありとする。


治 療

・原因薬の投与中止。
・抗パーキンソン病薬中止による発症では中止前の投与量で再投与する。
・水分補給、栄養補給。



統合失調症

統合失調症(幻覚、認知、記憶機能に影響)

統合失調症の症状
陽性症状ドーパミンが上昇):

・思考障害(他人の質問に対し、的外れな答えを返す。考えがまとまらず話がまとまらない)
・幻聴:聴覚の幻覚。(人の声、音に敏感)
・幻視 : 視覚の幻覚。(存在しない物が見える)
・幻嗅:嗅覚の幻覚。(臭いに敏感)
・体感幻覚 :体性感覚の幻覚。(皮膚・筋肉・間接で視床が関与)


機能上昇の脳部位

視覚情報は、網膜 → 視床 → 視覚野(後頭葉)→ 頭頂葉 → 前頭葉を始め側頭葉へ伝えられます。
パーキンソン病の幻覚、感覚障害はドーパミン上昇により視床でグルタミン酸(神経伝達物質)出力異常によると考えられる。


陰性症状ドーパミンが低下):

認知機能障害、記憶力、注意・集中力、計画、思考、判断、実行、問題解決などの複雑な知的能力の欠如。不安感・焦燥感・緊張感、自発性の低下(自分ひとりでは何もしようとせず、家事や身の回りの事にも自発性がない、感情の動きが乏しくなり無関心)また、なんとなく胃が痛い、お腹が張る、下肢が熱く感じる等、病院にいって検査しても異常がないなど。


機能低下の脳部位

視床 → 前頭皮質(前頭葉の内側前下面領域で意思の決定、学習に関わるとされている部位)をつなぐ神経線維の結合が弱まっている。


グルタミン酸神経系の調節

統合失調症は脳内ドーパミンによる神経伝達の異常が原因のひとつと考えられていますが、その発症要因はよくわかってはいません。現在の代表的な統合失調症の治療薬として、脳内ドーパミン受容体のひとつ (D2受容体) の受容機能を遮断する効果を持つものがありますが、全ての統合失調症に有効というわけではありません。現在、統合失調症に有効であるとされ世界的に開発が進められている治療薬の一つがグルタミン酸神経系を調節する機能を有するものです。ドーパミン神経系の機能調節を通じて統合失調症の治療法の開発に道を開くものといえます。
 副作用と症状

          腹側被蓋野 → 側坐核 → 妄想、幻覚(陽性症状)
          腹側被蓋野 → 前頭葉・側頭葉 → 意欲低下(陰性症状)
 統合失調症発病現因・仮説
ドーパミン仮説
中脳辺縁系におけるドーパミンの過剰が、幻覚や妄想といった陽性症状に関与しているという仮説。前頭葉や前部帯状回などでドーパミン受容体結合能の低下を示唆されている。また、ドーパミンをコントロールする抗精神病薬の副作用で、脳が萎縮するという研究結果が示唆されている。

グルタミン酸仮説
グルタミン酸の受容体であるNMDA受容体機能低下による統合失調症と共通病態と考えられ、統合失調症様な症状が生じる。

カルボニル ストレス仮説
ストレスや過剰な運動で活性酸素や二酸化炭素が血中に多く現われて、最終糖化物質を尿中に排出させる亢進がおこり、結果として酵素、ビタミンB6が枯渇になり、代謝回路(クエン酸回路・変形回路であるグリオキサラーゼ代謝)に影響をおよぼすとの仮説。

その他の仮説
ウイルス仮説、前頭葉機能の低下仮説、脳内アレルギー(ヒスタミン過剰)説、ビタミンBを産生する体内の腸内細菌が死滅が原因とする仮説がある。



パーキンソンにズムを悪化させる薬

パーキンソンニズムを悪化させる 薬リスト

パーキンソンニズムとは、パーキンソン病出現症状の振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害(姿勢保持障害)の2ッ以上の症状を示す状態。薬物の副作用として起こる症状を「薬剤性パーキンソンニズム」と呼び、薬を服薬して1ヶ月以内に約90%発症。

 薬物の種類  薬物名  商品名
ドーパミン受容体遮断効果を持つ薬物(パーキンソン二ズムを出現・悪化しやすい薬物)
フェノチアジン系 向精神病薬 クロルプロマジン  コントミン 
レボメプロマジン   ヒルナミン
 ペルフェナジン ピーゼットシー 
ブチロフェノン系 ハロペリドール  セレネース 
 ピモジド オーラップ 
ベンザミド系 消化器用薬  メトクロプラミド プリンペラン 
消化器用薬
抗精神病薬
スルピリド  ドグマーチル 
抗精神病薬  チアプリド グラマリール 
 ー 消化器用薬 ドンペリドン  ナウゼリン 
循環器用薬 レセルピン   アポプロン
非定型抗精神病薬 抗精神病薬 リスペリドン リスパーダル
ペロスピロン ルーラン
オランザピン  ジプレキサ 
クエチアピン  セロクエル 
ドーパミン受容体遮断効果はしられていない薬物(頻度は少ないが報告されている薬物)
Caチャネル阻害薬  循環器用薬 ベラパミン ワソラン 
ニフェジピン アダラート 
 アムロジピン アムロジン・ノルバスク 
マニジピン  カルスロット 
 ジルチアゼム ヘルベッサー 
循環器用薬  アプリンジン アスペノン 
 アミオダロン アンカロン 
抗真菌薬  アムホテリンB  ファンギゾン
免疫抑制薬  シクロホスアミド エンドキサン 
 シクロスポリン サンディミュン 
抗腫瘍薬  シタラピン キロサイド 
抗酒薬  ジスルファラム  ノックピン
麻酔薬  プロカイン  塩酸プロカイン
気分安定薬 リチウム  リーマス 
循環器用薬 メチルドパ  アルドメット 
抗てんかん薬  バルプロ酸ナトリウム デパケン 
抗潰瘍薬  シメチジン  タガメット
ファモチジン  ガスター 
抗うつ薬 SSRI   ー
抗認知症薬  ドネペジル アリセプト 
* ドンペリドン はドパミン遮断効果を持つが血液脳関門を通過しにくいのでパーキンソンニズムの出現、
 悪化は、きわめて少ない。

非定型抗精神病薬は、錐体外路症が出にくい事が特徴。しかし、大量投与、高齢者、認知症の患者では
 錐体外路症の出現可能性が高い。


参考文献:パーキンソン病治療ガイドライン2011、及び改編。





























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