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難病 パーキンソン病 家内と共に生きる。

パーキンソン病 介護・症状日誌

Fushimi-ku Kyoto city

パーキンソン病・対症治療Sympotoms-Therapy



薬物治療

施設写真


パーキンソン病(PD)の症状には大きく分けて運動症状、非運動症状があります。
運動症状には、
振戦、寡動・無動、固縮、姿勢反射障害。

非運動症状には、
・自律神経系症状(便秘、排尿、頻尿障害、起立性低血圧等)
・睡眠障害(不眠、むずむず脚症候群、REM睡眠行動障害)
・精神症状(抑うつ、不安、無関心、幻覚、妄想)
・認知機能障害、感覚障害、その他(痛み・倦怠感)
などです。現状行われている対症を記載しますが、PDは患者個々により出現症状,進行状況は異なります。また 主治医の治療方針により対症も異なりますので ご理解の上参照ください。 


Page Contents (詳細は下部をクリック)

   






運動症状

運動症状の対症

出現症状 対症・薬   解説
Wearing-off エンダカポン、
ドーパミン アゴニスト、
ゾ二サミド、
セレギリン の
開始、増量、変更。
Wearing-offは、off時間の短縮、off時の症状改善の2種類
があるセレギリンは、off時間の短縮は確認されていないが
off時の症状改善が報告されている。
既にL-dopaとドーパミン アゴニストを併用している場合
エンダカポ、ゾ二サミド、セレギリンを加え併用も可能
です。また、ドーパミン アゴニストの変更も有用と思わ
れる。
off-period
Dystonia
 ドーパミン アゴニスト
の追加、増量、
抗パーキンソン病薬の効果が低下した時に見られる。
下腿と足の筋に強い持続性の筋収縮が起こり足関節は固定
して動かせられなく痛みを伴うこともある。また、局部
ジストニア(瞼が下がる、腹部の筋収縮、首が反れる、
傾く、口を歪む、唇を突き出す、声が出しにくい)が
出現する事もある。

ドーパミンアゴニストを追加、増量する。
エンダカポン、セレギリン、ゾ二サミドを追加するのも
良い。早朝のoff-periodジストニア、ジスキネジアの場合
、睡眠前にドーパミン アゴニストを服用、増量。
on-off セレギリン の開始。 セレギリンの二重盲検試験で、on-offの改善が報告されて
いる。
・no-on

・delayed-on
 懸濁液での服用。  L-dopaの吸収障害によると考えられる。
アミノ酸大量摂取などにより胃排出時間遅延で、小腸上部
での吸収の遅れ、吸収量の低下が、出現していると思われ
るが、他の原因の究明、検索、治療薬の調整。
 peak-dose
 ジスキネジア
併用中のセレギリン、
エンダカポン、L-dopa
を減量、中止。
@セレギリンの減量、中止。
Aエンダカポンの減量、中止。
Bセレギリン、エンダカポンの減量、中止で不十分でない
 場合、L-dopaを減量。
C以上を試してみて改善が見られない場合は、
 アマンタジン投与検討。

エンダカポンは、L-dopaの半減期を延長させL-dopa濃度
を最高値に押し上げる作用が強いためoff時間を短縮させる
効果があるので、L-dopaを減らせ有効にジスキネジアを
減少が可能。
 Diphasic
 ジスキネジア
確立された
治療方法は無い。
L-dopaの血中濃度が高い時と低い時に起る二相性で出現。
エンダカポン、ドーパミン アゴニストも無効の事が多い
がアマンタジンが抗ジスキネジア作用があると言う意見も
ある。

理論的にはなるべくL-DOPA濃度を一定に保つことが良い
とされている。実際にはL-DOPA内服回数を増やした方が
良い人(濃度の一定化を目指す)と、逆に減らしたほうが
良い人(dyskinesiaの起こりうる頻度の減少を目指す)
また、コムタンを中止が効果が有るとの意見もある。

視床下核、淡蒼球 刺激がジスキネジア全般に有効と推測。
 嚥下障害 対処法の検討。 パーキンソン病の嚥下障害(えんげしょうがい)は、
・うつや認知障害による摂食障害。
・上肢の運動障害。
・舌や咀嚼(そしゃく)の運動障害。
・咽頭(いんとう)運動の減弱。
・上部食道括約筋の機能不全、により起こり得る。
off時で悪化、on時で改善するためパーキンソン薬の服薬
量や服薬時間の調整を行って、on時間を延長させ、
on時に摂食を推奨。
 構音障害 ・抗パーキンソン病薬
による治療。

・リハビリテーション
パーキンソン病の構音障害(こうおんしょうがい)は、
嚥下障害、流涎と共に抗パーキンソン病薬の副作用で
みられるジスキネジア、口内乾燥の影響やoff時間帯での
嚥下機能の悪化とみられ、筋緊張、固縮の亢進で起る
錐体外路症状による。

呼吸筋の運動障害による拘束性呼吸機能障害で声帯の
内転障害による運動低下性構音障害。
 排尿障害  薬物療法。 パーキンソン病の排尿障害は、膀胱障害、過緊張膀胱で
あると考えられる。また、運動機能低下と相関がある。
大脳基底核は、排尿に対して抑制に作用する。
大脳基底核疾患であるパーキンソン病の場合は、膀胱は、
過活動状態になると予測される。
・過活動膀胱には、
 ソリフェナシン、トルテロジン、イミダフェナシン、
 パロキセチン、ミルナシプランを用いる。
・排尿困難には、
 アドネラリン遮断薬のウラピジル、他にタムスロシン、
 ナフトピジルを考慮。
また、別の疾患により起こる事もあるので考慮が必要。
 流涎 ・唾液量を減らす
薬剤の投与。

・抗コリン作用のある
 薬剤の投与。
パーキンソン病の流涎(りゅうぜん)は、
嚥下障害(えんげしょうがい)、構音障害と共に
抗パーキンソン病薬の副作用でみられる。
唾液の貯留と考えられ、唾液の分泌量は過剰ではないが、
分泌速度が速いために唾液の貯留をきたしやすいとする
報告があります。

ムスカリン受容体が活性化となり分泌促進と考えられ
ます。また、記憶、実行機能の一部が比較的短期間で障害
される事があり、その場合、抗コリン薬中止により障害の
回復可能性が示されています。
参考文献:パーキンソン病治療ガイドライン2011、及び改編。



非運動症状

非運動症状の対症

出現症状 対症   解説

アパシー症状
・無関心

・無感動
うつの治療に準ずる。 アパシーは、小うつ病の診断基準に含まれ、うつの部分症状と
して出現。パーキンソン病では、うつ気分や悲哀を伴わず
アパシーが単独で発症する事が確認されている。
パーキンソン病における病変は、
前頭前野背外側部ー背側尾状核回路の機能的断裂とされて
いる。
うつ症状   薬物療法。 ・三環系抗うつ薬投与。
 ノルトリプチリンは、うつの改善に有効と安全性を示唆する
 報告があるが、三環系抗うつ薬は、抗コリン作用、抗ヒスタ
 ミン作用、鎮静作用が強く不整脈、心伝導障害、起立低血圧
 などの副作用も時には重症となり、認知障害、せん妄
 (意識混濁に加えて幻覚や錯覚が見られるような状態)の
 原因ともなるので第一選択薬としては問題がある。
・ドーパミンアゴニスト投与。
 ぺリコリド(麦角系、ベルマックス)、プラミペキソール
 (非麦角系、ビーシフロール)を試してみる。
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)投与。
 セルトラリンは、HAM-D評価
(Hamilton Depression Scale、ハミルトンうつ病評価尺度)
 でドーパミンアゴニストと同程度 の改善が認められてい
 るが、 モノアミン酸化酵素阻害薬を併用すると、脳内
 モノアミン(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン)
 の代謝が阻害されて濃度が高まるおそれがあるので注意を
 要する。
 非薬物療法。 ・修正型電気痙攣療法
(しゅうせいがたでんきけいれんりょうほう)
 Modified Electroconvulsive Therapy(mECT)は、内因性
 うつ病において有効である実績はある。
・反復経頭蓋磁気刺激療法
(はんぷくけいとうがいじきしげきほう)
 Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation(rTMS)は、
 うつ病の効果の実績はあるが、パーキンソン病患者での
 効果の実績は少ない。
・脳深部刺激療法(のうしんぶしげきりょうほう)
 Deep Brain Stimulation(DBS)は、うつ病に有効との報告が
 あるが、術後、新たなうつ出現の報告もある。
・感覚障害
(しびれ、
  痛み)
現因疾患の検索。
下肢が熱い、しびれて痛い。胃痛、胃が気持ち悪い。
主たる原因となる疾患が無い場合、統合失調症の陰性症状。
off症状として起る痛みには、閾値が低下しておりL-dopaが
有効でありWearing-offを軽減する治療薬の調整。
中枢神経系の神経痛治療薬で対応。

閾値となる電位の制御は、線条体-尾状核で行われていて黒質-
緻密部からのドーパミン供給不足で起こるとされていて、
線条体でのドーパミン不足。
また、学習と記憶のフィードバック処理、言語の理解にも
影響があると考えられる。
起立性
低血圧
・非薬物療法。

・薬物療法。 
起立性低血圧は、進行期パーキンソン病に認められる
非運動症状L-Dopaの副作用として生じる事がある。
パーキンソン病発症早期から認められる場合は、別の疾患
(多系統萎縮症)を考慮。
非薬物療法
・塩分摂取を行い、水分摂取、アルコール摂取をすすめ、
 臥床中に頭部を高くする。
・弾性ストッキングの着用。

薬物療法
・ミドドリン塩酸塩、フロドロコルチゾンによる治療を開始。
・幻覚

・妄想
L-dopa以外の
抗パーキンソン病薬を
減量、中止。
中枢神経系の変性・脱落(内因)、薬物(外因)、身体・心理
・環境要因(促進要因:発熱、脱水、入院、転居など)を背景に
出現する。促進要因の是正、薬物の見直しを行う。
ドーパミンアゴニスト間でもぺルゴリド、プラミペキソール、
ロビニロールが他のドーパミンアゴニストより幻覚、妄想を
生じやすいとの報告もある。

@幻覚、妄想の誘因となった薬物があれば中止。
A抗コリン薬、アマンタジン、セレギリンを中止。
Bゾ二サミド、ドーパミンアゴニスト、エンダカポンを中止。


非定型抗精神薬を投与:
 クエチアピン、オランザピン、クロザピン。
 低血糖を生しる事があるので、糖尿病患者への投薬は禁忌。

コリンエステラーゼ酵素阻害薬を投与:
 ドネぺジルは、パーキンソン病やレヴィ小体病において
 運動機能を悪化させず、認知機能障害、精神症状を改善
 させる報告が多い。(幻覚への有効性が高い)

抑肝散(よくかんさん)漢方薬を投与:
 レヴィ小体型認知症患者で幻視が消失したとする報告がある
睡眠障害  右欄参照。 睡眠障害の原因は、自律神経系、中枢コリン系、セロトニン系
、ノルアドネラリン系、ニューロンの変性、脱落などにより
起り睡眠、覚醒機能障害、入眠障害、夜間頻回覚醒、
早朝覚醒、REM(レム)睡眠時間が減少、運動症状悪化
(夜間の睡眠障害により)などの症状がありそれぞれの症状
によ対症。

・入眠障害:短時間作用型催眠鎮静薬開始。
・頻回中途覚醒:長時間作用型催眠鎮静薬開始。
・REM睡眠行動異常症(夢のまま叫んだり、けがをする様な
 行動をする症状)には、クロナゼパム、メラトニン、
 プラミペキソールが有効。
・日中過眠

・突発性睡眠
ドーパミン アゴニスト
の減量。
予兆なく寝入り、2〜5分で目覚める。
非麦角系ドーパミン アゴニストの誘発頻度率が高い。
消化管
運動障害
・食物繊維、
 水分摂取。

・薬物療法。
パーキンソン病患者に見られる消化管運動障害は、嘔吐、便秘
パーキンソン病では、早期からアウエルバッハ神経叢にレヴィ
小体が出現する事が報告されている。
薬剤吸収のの阻害因子となるので便秘を改善は大切。

・食物繊維の摂取、水分摂取、運動療法。
・薬物療法
 便秘:@ 酸化マグネシウム(食後1〜3回、1日0.5〜3g)
      マグミット錠、マグラックス錠。
    A センナ(0.5〜1g 就寝前)センナ錠。
    B センノシド(12〜24mg 就寝前)センノシド錠
    C モサプリドクエン酸(1日15mg、分3)
     モサプリドクエン酸塩錠(ケミファ)

 嘔吐:@ ドンペリドン(1日30mg、分3)
認知
機能障害
 抗コリン薬の中止。 抗コリン薬(ムスカリン受容体阻害薬)の投与により、記憶、
実行機能の一部が比較的短期間で障害される事および服薬中止
により障害が回復可能性が示されている。
認知症が
合併
ドネぺジルを投与。 パーキンソン病の診断後12年で60%、20年後で80%の認知症
になる論文が相次いで発表された。

パーキンソン病の認知症に対しては、ドネぺジルが有効かつ
安全性が高いが、高齢者への投与は慎重に。
副作用は、振戦の出現、悪化が懸念されるが、一過性で
あるとの報告されている。
参考文献:パーキンソン病治療ガイドライン2011、及び改編。





























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